生活保護受給者の入院費用
- 入院時の医療費(診察・検査・処置・投薬・手術 など)は無料
- 入院時の食事代も無料
- 保険適用外の治療は受けられない
- 原則後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使用
- 差額ベット代(室料差額)がかかる部屋は利用できない
- 入院中の生活費(医療費・食事代以外)は自腹
今回は生活保護受給者が入院した場合の医療費について紹介します。
結論から言うと、生活保護受給者が入院した場合、医療費も食事代も自己負担なし(無料)になり、支払いが発生する事はありません。
ただし、当たり前ですが無条件ではないですし注意点もあるのでまとめます。
あくまで制度としての説明であり、この記事ではむやみに入院を推奨するような意図は一切ありません
【大前提】生活保護受給者になると医療費は無料になる
今回説明する入院に限らず、外来で病院を受診する場合も診察、処置や手術の他、処方される薬なども無料になります。
つまり、自己負担なし(無料)で病院を受診できます。
ただし、生活保護受給者が医療費の自己負担なし(無料)で病院を受診するには、条件がありますので軽く説明します。
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医療費の自己負担がなし(無料)になる条件
医療費の自己負担がなし(無料)になる条件
- 医療券を取得している
- 保険内診療である
- 原則後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使用する
1つずつ見ていきましょう。
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条件1:医療券を取得している
正式名称でいうと「生活保護法医療券・調剤券連名リスト」と言うものです。
一言で説明すると1回(1か月間)限り使える医療費無料チケットです。
医療券は一般的な保険証と違い、
保険証と医療券の違い
- 必要になったら都度発行してもらう(福祉事務所に)
- 使える病院名が明記(それ以外の病院では使えない)
- 有効期限は発行月内
というもので、病院に行きたい場合は福祉事務所(生活保護を管理している事務所)へ赴き、都度発行してもらう必要があります。
そして、病院で提出したら返却してもらえません。
ですから、保険証を持っている一般の方との決定的な違いとして、生活保護受給者は行きたい時に行きたい病院へ行く事ができません。
自己負担10割だったり緊急の場合(救急搬送など)を除く
条件2:保険内診療である
当たり前ですが、保険が効かない治療はできません。
生活保護の医療扶助は、あくまで保険が適用される治療のみが対象となっているからです。
保険が効かない治療を具体的にいうと、私費治療とか自由診療と呼ばれているものなどが該当し、先進医療や歯科のインプラント等が該当します。
ですから生活保護受給者はこれらの治療を受けられません。
もちろん、これから説明する入院時においても、生活保護受給者は保険の効かない治療(診療)は受けられません。
自己負担10割を負担できれば、受ける事が可能かもしれません
参考治療費について(医療法人社団 創新会 大森・東京歯科口腔外科・Luz大森アプル歯科医院)
参考先進医療とは? どれくらい費用がかかる?(公益財団法人 生命保険文化センター)
条件3:原則後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使用する
2018年10月の法改正で、生活保護受給者は原則後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使用する事になりました。
ただし、あくまで原則なので、医師が先発薬品を使う必要があると判断した場合や、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の無い薬に関しては対象外です。
続いて本題の入院時の医療費について説明していきます
入院時にかかる医療費
上↑の画像は私が入院した際のレシートです。
当時は生活保護ではなかったので支払いが発生しています
医療費
- 診察料
- 医学管理料
- 在宅医療
- 投薬料
- 注射料
- 処置料
- 手術料
- 輸血量
- 麻酔料
- 検査料
- 病理診断料
- 画像診断料
- リハビリ料
- 精神療法料
- 放射線治療
- その他
- 食事療養費
- 室料差額
- など・・・
沢山の項目がありますが、入院時の費用を大きく分けると
入院時の費用
- 医療費(保険適用内)
- 医療費(保険適用外)
- 食事代
上記の通り分けられます。
生活保護受給者が自己負担なし(無料)になる入院時の医療費
生活保護受給者は、前述の医療費(保険適用内)と食事代がともに自己負担なし(無料)になります。
前述しましたが、生活保護受給者は保険が効かない治療を受けられないので、医療費(保険適用外)は発生しません。
入院の場合、差額ベット代(前述の画像でいう「室料差額」)という保険が効かないお部屋がありますが、当然生活保護受給者は利用できません。
入院が必要だが個室しか空いていない場合など、病院都合で差額ベット代(室料差額)がかかる部屋に入院した場合は問題なし(医療費の自己負担なし)
生活保護受給者なのに自己負担が発生し医療費が請求されないか?
入院のタイミングで、自分が生活保護受給者である事を伝えれば、病院側で自己負担が発生しない治療のみを実施してくれます。
その為には、動ける状態なら医療券を取得したり、必要があれば「生活保護受給者証」や「生活保護受給証明証」といった書類を福祉事務所で取得します。
何が必要かは病院に確認をとりましょう
そして入院手続きの際に、必要な書類を確実に提出すれば医療費の自己負担が発生する事はありません。
緊急時は生活保護開始日が分かる「保護決定通知書」を持参する
自宅から救急搬送(救急車)が必要な場合、これまで説明した医療券などは準備できません。
その場合、生活保護開始日が分かる「保護決定通知書」を持参すれば問題ありません。
しかし、自宅外だったり動く事が出来ない状態の場合は、生活保護である事を救急隊員さんや病院の方に伝える事。
そうすれば、多少複雑になっても何とか手続きは出来るとの事でした。
私は(指定)難病の膠原病(全身性エリテマトーデス・シェーグレン症候群)を患い、救急搬送の可能性がある生活保護受給者です。
生活保護の申請時、家庭訪問時にこのように説明を受けました。
保険が効く治療のみで大丈夫なのか?
保険が効く治療だけだからといって、治療内容に不備が発生するという事はないと言えるでしょう。
保険の効かない治療は、治療・延命の可能性の追求だったり、命に関わらない(歯の美白・矯正や脱毛の治療)治療の場合だったりします。
基本的には保険内で十分な治療が見込めます。
脱毛の治療もAGAではなく、他の病気が由来(SLE[全身性エリテマトーデスなど])の場合は保険が効き、治療を受けられます
生活保護受給者が入院する際の注意点は2つ
生活保護受給者の入院時注意点
- 入院が1か月以上になると生活保護受給額(生活扶助)は2万円程度までさがる
- 入院中の生活費(医療費・食事代以外)は自腹
注意点1:入院が1か月以上になると生活保護受給額(生活扶助)は2万円程度までさがる
理由は簡単で、入院していると生活費がかからないからです。
医療費もかかりませんし、食事代も無料なので、生活保護受給者が入院した場合の生活費はライフラインの基本料金(電気・ガス・水道・通信)位です。
通信費は基本料金以上かかる可能性あり
そのため、生活保護で毎月扶助(支給)されるのは、
生活保護の扶助(支給)
- 住宅扶助(家賃)
- 生活扶助(生活費)
- + 世帯状況に応じて
となりますが、1か月(暦でいう「〇月」の全ての日)を入院した場合、生活扶助(生活費)が2万円程度まで下げられます。
年齢、お住まい、家庭構成で生活扶助の金額は異なります
とは言っても、生活費としての出費はライフライン位ですし、住宅扶助(家賃)は支給されるので、生きていく分には問題ないでしょう。
ただ、知らずに1か月以上の長期入院をした場合は、確実にビックリしますので覚えておきたい注意点です。
参考基準生活費、加算、一時扶助について(栃木県ホームページ)
注意点2:医療費・食事代以外の生活費は自己負担
入院していても医療費や食事代以外のお金がかかる時はあります。
例えば、飲み物を買ったりテレビカードを買ったり。
それ以外にも、着替えや売店での買い物などは、当然ですが全て自腹になります。
入院時の医療費と食事代が自己負担なし(無料)だからといっても、1円も使わずに退院する事はかなり難しいので、日頃から万が一の時の為に備えておく事は重要です。
まとめ
生活保護受給者の入院費用
- 入院時の医療費(診察・検査・処置・投薬など)は無料
- 入院時の食事代も無料
- 保険適用外の治療は受けられない
- 原則後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使用
- 差額ベット代(室料差額)がかかる部屋は利用できない
- 入院中の生活費(医療費・食事代以外)は自腹
生活保護受給者でも病院に行くことはできますし、入院治療も受けられます。
そしてこれまで説明した通り、高額になりがちな医療費の負担は免除されています。
ですから
と思ったら、まずは管轄の福祉事務所へ連絡・相談して、病院を受診してみましょう。
手続きなどをふまえると、病院へ行くまで、入院するまでが面倒と思うかも知れません。
しかし、体が壊れたり病気が悪化してしまったら、生活の立て直しや生活保護の返上も遠のきます。
病気もケガも早期発見・早期治療が一番大事です。
それは生活保護受給者だろうと、一般の方だろうと変わらないのですから。
して、るーしーは生活保護受給になってから入院したのか?
おかげ様で今のところは毎月の通院のみで、入院するほどの体調不良はありません
入院しても毎日ワシらの水やりに戻ってくるんじゃぞ?
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