生活保護費の貯金
- 生活保護受給者でも貯金して構わない
- むしろ生活保護費の1~2か月分は貯金する事が推奨されている
- 貯金や収入を隠すと不正受給になる
お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は生活保護受給者が貯金をしてもいいのかについて説明します。
結論から言うと、生活保護受給者が貯金をしても問題ありません。
むしろ、福祉事務所(生活保護を管理する事務所)でも、生活保護費の1~2か月分は貯金する事を推奨しています。
でも、そんな話を聞いたら
このような感情が出るのも、納税する側から見たら無理もありません。
ただ、そこの解釈には少し誤解があって、貯金しておかないと、最低限度の生活が維持できない状況が起き得るから貯金が推奨されています。
という事で、今回は生活保護受給者の貯金について
生活保護受給者の貯金
- 何故貯金が推奨されるのか
- どの位なら貯金していいのか
- 貯金をする上での注意点
を紹介します。
【大前提】生活保護受給者は貯金が認められている
冒頭でも触れましたが、生活保護受給者が貯金をする事は認められています。
むしろ私は生活保護の申請手続き時に、
と福祉事務所の職員さんに言われました。
金額で言うと、生活保護受給額の1~2か月分は貯金しても問題ないとの事でした。
詳しく説明するね
繰り返しますが、生活保護は各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
なぜ生活保護受給者が貯金を認められているのか
万が一の時でもお金が支給されないからです。
具体的にいうと、
生活保護受給者の万が一
- 家電が壊れた時
- 長期入院した時
など
が挙げられ、上記の場合は追加でお金をもらえたりしません。
生活保護受給者は、最低生活費として毎月お金が支給され、医療費は自己負担ゼロ(無料)になりますし、更に状況に応じて支給されるお金(おむつ代や給食費など)があります。
しかし、何か起きたら必ずお金がもらえる訳では無く、少なくとも上記2点は追加でお金を貰う事ができませんので、生活扶助(生活費)からうまく工面しなければいけません。
でもそれって最低限以上を望んでるって事じゃないの?
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1:家電が壊れた時
テレビや冷蔵庫、洗濯機に電子レンジなどは生活保護受給者でも所有を認められています。
しかし、これらが壊れた時の修理代や買い替え費用は一切支給されません。
ちなみに、エアコンも生活保護受給者の所有が認められています。
ですが、壊れた時の修理代や買い替え費用は一切支給されないのはエアコンも同様です。
ですから、これらが壊れた時の為に、最低でも買い替えができる位の貯金をしておかないと生活に支障が出ます。
でも長期入院ってどういう事?
医療費の自己負担がないなら長期入院しようが関係ないわよね?
2:長期入院
生活保護受給者が1か月以上入院すると、生活扶助(生活費)が20,000円程度まで減額されます。
入院中は問題なくても、退院のタイミングによっては生活ができなくなる可能性もあるんだ
暦上の月の日数全て入院すると、翌月の生活扶助(生活費)は20,000円程度まで減額されます。
ですから、
例
2月に受け取る生活扶助(生活費)が2万円程度まで減額
上記の通り、貯金がほぼ無い状態で長期入院したら、退院した後の生活が成り立たなくなる可能性があります。
他にも、生活保護受給者が貯金をして訴訟になった例を少し紹介するね
生活保護受給者の貯金で過去に起こった訴訟と判決
1:加藤訴訟
介護を受ける為という目的で貯金していたので、問題無いという判決
2:中嶋訴訟
最低限の生活を維持し、高校修学費を蓄える努力であるという判決
以上から、蓄財目的ではなく、最低限度の生活を維持するなど正当な理由の貯蓄であれば、それなりの金額を貯蓄する事が許されています。
参考生活保護費をためてもいいの?(全国生活保護裁判連絡会)
参考生活保護 学資保険、13年の闘い(東京新聞)
いくらまでなら生活保護受給者が貯金してもいいのか
特に問題無く貯金できる金額としては、生活保護受給額の1~2か月分と考えるのが妥当です。
ただ、それ以上の金額を貯金したい場合は、事前にケースワーカーさんに目的と金額を伝え相談するべきです。
でも、何も伝えず数十万円も貯金したら、目的やどうやって貯金したのかを確認されるのは間違いないから、事前に目的と金額の確認を取りましょうという事だね
でもだまって貯金したら良くない?
福祉事務所は生活保護受給者の口座を金融機関へ直接確認可能
生活保護の申請手続き時に、福祉事務所が自分の口座情報を確認しても構わないという同意書を書くからです。
ですから、黙って貯金してもバレますし、生活保護の受給者は毎月の収入報告と、年に1度貯金(資産)の報告をする義務があるので、それを怠ったり虚偽報告すると不正受給になってしまい、ペナルティを受ける可能性もあります。
貯金が数十万円と高額になってしまった場合どうなるの?
これは理由によって対応が変わってきます。
説明するね
毎月の収入報告と年一度の資産報告を、怠ったり偽ったりしていない事が前提で話をすすめます
充分な収入があったうえで貯金できた場合は安定して収入を得られるか様子を見て停止・廃止に
つまり、生活保護を受けなくとも、自分で収入を得て貯金も出来ると判断された場合です。
例えば30万円程の給与収入が安定して見込める場合など。
例え30万円収入を得ても、生活保護を受けている場合、控除額以上は支給額から差し引かれます
この場合でも、いきなり生活保護の廃止とはならず、半年程度は継続して安定した額の収入が得られるか確認したうえで廃止となります。
ただ、例えば100万円を超えるような、大きな収入が一回で入った場合は一発廃止もあり得るようです。
収入がない場合はいったん生活保護の停止をして貯金が少なくなってから再度支給
収入はゼロ(少ない)だが、支出がほとんどなく、結果的に貯金が貯まったパターンです。
毎月収入報告をゼロ(少額)で報告しており、生活保護費も満額受給する。
しかし、支出もほとんどないので、年一回の資産報告で100万円近い貯金があった場合など。
私の担当ケースワーカーさんに、このような方がいたと取材時に教えてくれました。
個人を特定できる個人情報は一切お聞きしておりません
この場合は、継続した収入が見込めませんので、貯まった貯金を切り崩すまで生活保護の停止となります。
そして、貯金が生活保護を再度受けられる位の金額になってから、再び生活保護の支給を受ける事になるとの事でした。
まとめ
これまで説明した通り、生活保護受給者でも貯金をする事は許されています。
ですから、何かあった時の為に1~2か月分の貯金をしておくのは重要な事です。
そして、蓄財目的ではなく、介護、教育、養育など、正当な目的がある貯金ならば、それなりの金額を貯金する事も可能であると、過去の判例から言えます。
しかし、正当な理由があれば認められるからと言って、
と、数十万円を黙って貯金するような事はせず、目的と金額をケースワーカーさんに報告、相談しましょう。
そうする事で、収入や生活を怪しまれたりという事も無くなります。
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