今回は特定医療費(指定難病)受給者証の情報を、生活保護受給者として変更する手続きについて紹介します。
名乗りの通り、私は難病を患い生活保護を受給しています。
私の患っている病気は「全身性エリテマトーデス」と「シェーグレン症候群」という病気で、難病の中でも医療費が助成される病気(指定難病)です。
この医療費助成を受けるには、特定医療費(指定難病)受給者証というものを取得する必要があります。
私は特定医療費(指定難病)受給者証を生活保護受給前に取得していたのですが、生活保護受給者となった場合は特定医療費(指定難病)受給者証の登録情報も変更する必要がありました。
そしてその変更手続きは2,3カ月かかり、その間10割負担で医療費を立て替えるという事に。
どう考えてもそれはムリなので、保健センターのスタッフさんとケースワーカーさんで色々と協議してもらい何とか回避出来ました。
そんな大事件に発展した、特定医療費(指定難病)受給者証の登録情報の変更手続きについて詳しく紹介していきます。
指定難病の医療費助成は都道府県が実施しているので、お住まいにより対応が異なる場合があります
(指定難病の)医療費助成:特定医療費(指定難病)受給者証の関連記事
●(指定難病の)医療費助成を受ける「特定医療費(指定難病)受給者証」の申請手続き方法
●特定医療費(指定難病)受給者証の更新方法
●【生活保護】特定医療費(指定難病)受給者証の変更中に病院へ行く際は医療券を使う事!
そもそも特定医療費(指定難病)受給者証とは?
指定難病を患った場合、医療費を都道府県から助成してもらう申請ができます。
認定された場合は、対象の疾病治療費に対する毎月の自己負担限度額(負担上限月額)が0から30,000円に設定され、かつ自己負担割合が3割から2割になります。
そして、生活保護受給者になると自己負担限度額(負担上限月額)が0(100%都道府県負担)になるので変更手続きをする必要があります。
特定医療費(指定難病)受給者証の生活保護変更手続き
手続きは最寄りの保健センターで出来ます。
基本的に特定医療費(指定難病)受給者証の発行手続きをした保健センターへ行けば問題ありません。
手続きの流れ
- 必要書類を提出
- 特定医療費支給認定内容変更届に必要事項を記入
- 医療費助成対象者証明書を発行してもらう
- 2,3か月後に情報変更された特定医療費(指定難病)受給者証が自宅へ郵便で届く
1:必要書類を提出
必要書類
- 保護決定通知書
- 特定医療費(指定難病)受給者証
保護決定通知書は生活保護の開始日を確認したのちに返却されますが、特定医療費(指定難病)受給者証はそのまま回収されます。
Ⅰ:保護決定通知書
特定医療費(指定難病)受給者証の情報変更は、生活保護開始日に遡って手続きしますので生活保護が開始された日付がわかる「初回発行の保護決定通知書」が必要です。
保護決定通知書は、新しい通知などがあれば随時発行され古い情報が上書かれますので必ず「初回発行の保護決定通知書」を持参しましょう。
Ⅱ:特定医療費(指定難病)受給者証
今お持ちの特定医療費(指定難病)受給者証(複数あれば全て)を持参しましょう。
生活保護受給になると、変更手続きをしていない特定医療費(指定難病)受給者証は使えなくなるのでそのまま回収されます。
特定医療費(指定難病)受給者証の受給者番号は保険証に紐づいている
生活保護受給になると保険証(国保)がなくなります。
特定医療費(指定難病)受給者証の受給者番号は保険証に紐づいており、保険証がなくなった時点で無効となります。
つまり、特定医療費(指定難病)受給者証の変更手続きは生活保護での受給者番号を発行し登録する手続きになります。
2:特定医療費支給認定内容変更届に必要事項を記入
生活保護に変更した事を申請する書類で、保健センターで用意してあります。
保健センターの方が必要部分を記入してくれるので、あとは自筆が必要な箇所のみ自分で記入します。
自筆が必要な箇所
- 届出日
- 変更事由発生日(生活保護開始日)
- 氏名(フリガナ)
- 性別
- 電話番号
- 青年月日
- 公費負担番号
- 受給者番号
公費負担番号と受給者番号は特定医療費(指定難病)受給者証に記載されており、現物の確認をしながら記入をさせてもらえます。
3:医療費助成対象者証明書を発行してもらう
生活保護者用に情報変更した特定医療費(指定難病)受給者証が届くまで(2,3か月)の間、医療費助成されている事を証明する書類です。
記入されている内容は特定医療費(指定難病)受給者証とほぼ同じで、対象疾病の通院治療時に提出が必要になります。
しかし、ここで大問題が発生しました。
医療費助成対象者証明書は医療費を一旦10割負担する事になる
前述した通り、特定医療費(指定難病)受給者証は保険証と紐づいており、生活保護 = 保険証がないため医療費をいったん10割自己負担し、後から自己負担限度額(負担上限月額)を超えた分が還付されるという事に。
お住まいの都道府県、市町村で異なる可能性あり
10割負担だと、私の場合は一度の通院で医療費が3万円を超えます。
還付される以前の問題として、生活保護者がこの金額を財布からホイホイと出せる訳がありません。
それでどうしたの?
保健センターの方と私の担当ケースワーカーさんが話し合ってくれて医療費助成制度は使わず医療券で自己負担0にする事にした
どういう事?
医療費助成と医療券の違い
医療費助成(特定医療費(指定難病)受給者証)と生活保護(医療券)どちらを使っても医療機関に支払う医療費と生活保護者の自己負担0は変わりません。
変わるのは医療費を支払うのが誰かです。
生活保護者の医療費負担
- 医療費助成(特定医療費(指定難病)受給者証):自己負担分(生活保護者は0)以外は都道府県が負担
- 生活保護(医療券):100%市区町村が負担
生活保護は最も優先度が低く、他に利用できる制度や助成があれば全て使った上で足りない部分を生活保護で賄います。
ですから、医療費も都道府県が助成してくれるなら、そちらの制度を優先する事が大前提になります。
しかし、今回は変更手続きの間あまりにも生活保護者の負担が重くなってしまうため、変更手続きが終わるまで医療費助成(特定医療費(指定難病)受給者証)を使用せず生活保護(医療券)を使うという事になりました。
生活保護の医療費や医療券について詳しく
4:2,3か月後に情報変更された特定医療費(指定難病)受給者証が自宅へ郵便で届く
生活保護受給者として情報変更された特定医療費(指定難病)受給者証が届けば、自己負担0(100%都道府県負担)で対象疾病の受診ができます。
私は一連の変更手続きを2018年11月15日に行い、2018年12月5日に生活保護者用の特定医療費(指定難病)受給者証が発行されました。
恐らく自宅ポストに投函されたのは数日たってからとしても、手元に届くまで1か月弱なので、申請時の案内(2,3か月)よりもかなり早かったです。
■通常
■生活保護者用
特定医療費(指定難病)受給者証は通常と生活保護者用で違いがあるのか?
上記添付画像の通り、生活保護者用は自己負担の上限が0で入院時の食事代も公費負担(0)になる事が明記されている。
生活保護受給者は保険証がないので、病院にかかる際医療券が必要になるが、生活保護用の特定医療費(指定難病)受給者証があれば、対象疾病の治療なら医療券無で受診する事が出来る。
自己負担上限額管理表は、生活保護になる前から使っていたものを引き続き使用できる。
ちなみに、生活保護者は入院が一か月を超えると、生活費がかからないとみなされ、生活保護費が2万円程度(お住まい、家庭構成による)まで減額される。
まとめ
生活保護受給者の医療費は、
生活保護者の医療費負担
- 医療費助成(特定医療費(指定難病)受給者証):100%都道府県が負担
- 生活保護(医療券):100%市区町村が負担
となるため、指定難病を患い医療費の助成(特定医療費(指定難病)受給者証)を都道府県から受けている場合は基本的に医療券(100%市区町村負担)を使えません。
そして、生活保護受給者になる前に医療費助成を受けている場合は変更手続きが必要になり、その間は一時的に自己負担10割での立て替えが発生してしまいます。
お住まいの都道府県、市区町村で異なる可能性あり
生活保護受給者が一度の通院で数万円も支払う事は実質不可能ですので、このような場合はケースワーカーさんへ相談しましょう。
きっと負担が少ないような対応を提案してくれるはずです。
というレアケースを見事引き当てた?私ですがこれからも生活保護制度の中で気になった点や、広く知って欲しい事などがあればどんどん発信していきます。
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