今回は医療券と生活保護受給者が病院を受診する手順について紹介します。
結論から言うと、生活保護受給者は「医療券(生活保護法医療券・調剤券連名リスト)」を利用すれば医療扶助を受けられて自己負担0で病院を受診できます。
しかし、フリーパスで行きたい時に、行きたい病院へ行き、無料で診てもらえるという訳ではありません。
医療券(生活保護法医療券・調剤券連名リスト)とは
医療券(生活保護法医療券・調剤券連名リスト)の疑問
- どんなもので
- どのように取得し
- どのように利用するのか
併せてどのように病院を受診するのかを詳しく紹介していきます。
私自身、生活保護の受給者になり生活保護受給者になる前後で最も変わったのは「医療券(生活保護法医療券・調剤券連名リスト)を利用した病院の受診」だと感じています。
体が弱かったり、持病があったりすると医療費は大きな負担になります。
この制度(医療扶助)をきちんと理解して病院を受診しましょう。
以降、本記事では「生活保護法医療券・調剤券連名リスト」と「 医療券」は同義のため「医療券」と省略させていただきます
お住まいの自治体(担当福祉事務所)で対応が異なる可能性もあるので、本記事はあくまで参考とし、詳細は必ず担当ケースワーカーさんへ確認を取ってください
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【大前提】保険証は生活保護の申請時に福祉事務所へ提出する
保険証は生活保護の申請時に福祉事務所で提出します。
例外あり(会社の健康保険証[社会保険など])
つまり、生活保護の申請時から保険証はなくなります。
生活保護の申請中に病院へ行くには「資源的要否意見書」を利用する
前述の通り、生活保護の申請中も保険証がありませんので、病院へ行きたい場合は福祉事務所へ赴き(連絡し)資源的要否意見書を発行してもらいます。
資源的要否意見書を病院に提出すれば、自己負担0で受診する事ができますが、生活保護の申請が否決された場合は、資源的要否意見書を利用して通院した医療費の自己負担分を支払う事になります。
生活保護決定後は病院受診時に医療券を利用する
生活保護が認定された後は、病院を受診したい場合医療券を利用して受診する事になります。
ただし、冒頭でも触れた通り医療券イコール保険証ではないので、病院の受診方法は保険証があった頃と全く異なります。
使う側目線で見た医療券とは?
福祉事務所が、指定医療機関に対し被保護者の医療を委託した場合は、医療券を発行しますので、医療機関は、厚生省令 (昭和51年8月2日厚生省令第36号)に定められた各法共通の診療報酬明細書(以下「省令レセプト」という。)に必要事項を 転記のうえ、他の医療保険及び公費負担医療の請求分とともに編てつし、社会保険診療報酬支払基金神奈川支部へ請求します。 (生活保護法未指定医療機関は、省令レセプトが返戻されます。)
引用:生活保護法による医療扶助とは(神奈川県ホームページ)より
医療費の支払いについて、保険証と異なる事はなんとなくわかりますが、医療券を使う側目線での説明はインターネットで検索してもなかなかありませんでした。
本記事では、医療券とはどんなもので、どんな使い方をするのかを、使う側目線で説明していきます。
保険証と医療券の違い
種類 | 自己負担 | 病院の指定 | 有効期限 |
---|---|---|---|
保険証 (国民健康保険など) |
基本3割 | なし | なし |
医療券 | 0割 | あり | 発行月内 |
詳しく説明します
医療券は医療費の自己負担が0割になる
保険証は医療費のうち(基本)3割が自己負担となりますが、医療券(生活保護者)は0割(無料)になります。
上記の画像は処方箋ですが、医療券を使って病院を診察して出していただいたもので、自己負担が0割と明記されています。
薬を渡され終了ですので、私は「なんかすみません」といって薬を受け取り帰りました
このように医療費の自己負担を生活保護で負担してくれることを医療扶助というからの
医療券は医療扶助を受ける為に必要という事ですね!!
医療券は使える病院名が明記されている
上記の通り、医療券で明記された病院以外に医療券を提出しても診てもらえません。
10割自己負担なら診てくれます
保険証はどの病院に行っても自己負担割合は同じですが、医療券は記載された病院(医療機関)以外は対象外(自己負担10割になる)なので注意が必要です。
医療券は発行月内という有効期限がある
保険証に有効期限はありませんが、医療券は期限が発行月内でいつからいつまでか明記されています。
社会保険(会社の健康保険)の場合は原則退職と同時に失効しますが、国保(国民健康保険)に切り替わります
例えば、2018年11月に医療券で受診した病院へ、2018年12月も受診する場合は、2018年12月の医療券を発行してもらう必要があります。
同月内に同じ病院へ再受診する場合は医療券が必要ありませんが、同じ医療機関(病院)でも月が変わった場合は医療券が必要になるので注意しましょう。
医療券の発行と病院を受診する流れ
医療券発行と病院受診の流れ
- 福祉事務所で担当ケースワーカーさんへ相談
- 医療券を発行してもらう
- 医療券に記載された医療機関(病院)で医療券を提出し受診
- (あれば)処方された薬を薬局でもらう
簡単に説明すると上記の通りとなります。
1:福祉事務所で担当ケースワーカーさんへ相談
医療券の発行は福祉事務所が行うので、福祉事務所の担当ケースワーカーさんに相談します。
ここでどんな状態かを説明し、医科を判断し医療券で受診できる病院など(指定医療機関)をピックアップします。
基本的にはお住まいの最寄りになると思いますが、医療券(生活保護受給者)の診察を拒否している病院がありますので、医療券(生活保護受給者)の診察をしてくれる病院など(指定医療機関)を選定します。
正当な理由があり福祉事務所を訪れる事が出来ない場合は電話連絡でも対応してくれる可能性あり
2:医療券を発行してもらう
福祉事務所に赴いた場合はその場で医療券を発行してもらえます。
(正当な理由があって)福祉事務所に行くことができない場合は郵便で自宅へ送ってもらう事もできます。
3:医療券に記載された病院など(指定医療機関)で医療券を提出し受診
何度も言いますが必ず医療券の指定医療機関名という欄に記載された医療機関(病院)を受診しましょう。
指定医療機関名に記載された医療機関以外で医療券を提示しても診てもらえないので注意してください。
10割自己負担なら診てくれます
受診について、生活保護でない一般の方と比較して異なる点は2点ありますが、周囲の他患者さんに自分が生活保護だとバレるような事はありません。
生活保護受給者と一般の方との違い
- 受付時の提出物:保険証ではなく医療券
- 会計時:支払いは無しで処方箋のみ渡される(薬が出れば)
会計時の支払いがないので領収書やレシートは出ません。
4:(あれば)処方された薬を薬局でもらう
薬が出る場合は、病院の会計時に処方箋が渡されます。
上記添付の通り、処方箋には自己負担が0割と明記されていますので、薬局で薬を受け取る時に自己負担(支払い)が発生する事はありません。
一点だけ気を付けたいのが、医療機関同様に薬局でも医療券での処方を拒否しているところがあります。
受付の際に医療券(生活保護)でも薬を出してくれるか確認しましょう。
また、2018年10月から、生活保護受給者は原則後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使用する事となったので、これまで使っていた薬が変更される方も中には居るかもしれません。
緊急時は保護決定通知書を持参すれば病院の受診が可能
一刻も早く病院を受診する必要がある緊急時は、生活保護受給者である事を証明できる書類(保護決定通知書)を持参すれば自己負担0で病院の受診ができます。
また、動けないような状態であれば救急車を呼んでも構わないとの事でした。
電話が出来る余裕がある場合は、一度福祉事務所へ相談した方が良いですが、緊急時は上記のような対応も可能である事を覚えておきましょう。
だからと言って、むやみに医療券なしで病院に言ったり救急車を呼ぶ事は止めましょう
まとめ
確かにその通りなのですが、保険証があり自由に病院を選べるという訳ではありません。
制約がある中、所定の手続きをした上で医療費の自己負担が0になるという事を念頭に入れておく事が重要です。
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