という気持ちの難病患者は多いはずです。
実際私も「全身性エリテマトーデス」と「シェーグレン症候群」という難病を患っており、日光過敏が激しく長時間日光に当たれません。
外に出る時は、必ず日焼け止めクリームを何重にも塗り、UVカットの長袖長ズボンを着用し、日傘をさしています。
また、電車が止まって陽射しの入る車内に取り残されたり、ホームで立ち往々をする事になったら具合が悪くなり動けなくなるので、自分の力以外で動く事が非常に怖いです。
自宅も日中は遮光カーテンを閉めっ放しという生活。
つまり日常生活に支障が出まくっています。
このような状態で何か公的な補助はないのかを今回整理してみたところ、「難病患者」でも「障害年金」をもらえる可能性がある事が分かりました。
そこで現在「障害年金」の申請手続きを開始していますが、「難病患者」の場合、申請手続きが非常に煩雑になります。
今回は「難病患者」でも「障害年金」が貰える(可能性がある)理由と、手続きが煩雑になる理由、併せて私が実際に「障害年金」の申請手続きをした流れを紹介していきます。
今回はその第一弾です!!
そもそも「障害年金」とは?
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる年金です。
引用:障害年金(日本年金機構)より
つまり「障害年金」は支給条件を満たせば現役世代(65歳未満)でも未成年でも支給されます。
ここで、「年金」という言葉を聞くと真っ先に思いつくのが「老齢年金」です。
「年金」と一言で言われていますが、私達が意識せずに「年金」と言っているものは65歳から支給される「老齢年金」を指しています。
「障害年金」と「老齢年金」両者の共通点は「国からお金をもらえる」事ですが条件などは全く異なります。
ポイント
⇒支給条件は全く異なる
【参考】障害年金(日本年金機構)
「障害年金」と「老齢年金」の違い
- 給付年齢
- 給付条件
大きな違いはこの2つです。
同じ「年金」でもどのような違いがあるのかを見て行きます。
給付年齢:「障害年金」は現役世代(65歳未満)や未成年でももらえる
障害年金がもらえる年齢
老齢年金がもらえる年齢
以上から、「障害年金」と「老齢年金」の最大の違いは貰える「年齢」にあると言えます。
「障害年金」は20代や30代はもちろん未成年でも条件さえ満たせば貰う事ができます。
ポイント
■「老齢年金」が貰える年齢 = 条件を満たしたうえで65歳から貰える
給付条件:「障害年金」は「老齢年金」よりも厳しい
「障害年金」は年金保険料の支払い以外にも厳しい給付条件があります。
「老齢年金」は20歳になってから、(国民・厚生)年金保険料を規定期間以上支払えば給付されます。
老齢年金
障害年金
つまり、「老齢年金」は義務(年金保険料の支払い)を遂行すれば必ず給付されます。
※国の制度として変更がなければ
しかし、「障害年金」は義務(年金保険料の支払い)を遂行しても給付されるとは限りません。
厚生労働省の資料によると「障害年金」の受給者は平成24年で200万人弱(1,979,000人)です。
平成24年10月1日時点の日本の人口は約1億2750万人(127,515,000人)なので、「障害年金」受給者は人口の割合でいうと1.5%程度となり「貰っている方が珍しい」といえます。
【参考】障害年金の受給者数等に関する統計資料(厚生労働省年金局)
【参考】 人口推計(平成24年10月1日現在)結果の要約(総務省統計局)
「障害年金」の給付条件
- 初診日
- 障害の状態
- 保険料の納付要件
「障害年金」の給付条件は上記3つがあります。
前述した通り、「障害年金」を給付されている方はとても少ないです。
65歳未満の未成年でも受け取れるのに「障害年金」を給付されている方が少ないのは給付条件が厳しいからと言えます。
1:初診日
国民年金に加入している間に、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(これを「初診日」といいます。)があること
※20歳前や、60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときも含みます。
引用:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法(日本年金機構)より
つまり、医療機関にかかった事が証明できるかです。
実際の手続きでも、初診日にあたる医療機関へ通院した記録を取り寄せる事になります。
これはつまり、
というような「自己申告」ベースの話は認められない事を意味します。
ポイント
⇒医療機関を受診せず「自己申告」しても認められない
【参考】障害年金(日本年金機構)
2:障害の状態
一定の障害の状態にあること
引用:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法(日本年金機構)より
具体的に、
障害認定日に国民年金法施行令別表に定める障害等級1級または2級の状態にあるとき
引用:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法(日本年金機構)より
と定められています。
当たり前ですが、
という話は通用しません。
そして、人口の2%弱しか受給できていないのが納得できる程、定められている「一定の障害の状態(障害等級1級または2級)」は厳しいです。
この条件が「障害年金」を受給している方が非常に少ない最大の要因であると言えます。
障害等級1級の要件
- 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
- 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
- 両眼の視力の和が0.04以下のもの(原則として矯正視力)
- 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
- その他
障害等級2級の要件
- 1上肢の機能に著しい障害を有するもの
- 1下肢の機能に著しい障害を有するもの
- 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの(原則として矯正視力)
- 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
- その他
障害等級3級の要件
- 両眼の視力が0.1以下のもの(原則として矯正視力)
- その他
「障害の状態」は起因(病気名など)が定められていない
つまり同じ病気でも「障害年金」がもらえるケースともらえないケースが出てきます。
理由を考えてみましたが、「同じ病気」でも症状は人によって異なるからではないでしょうか。
※多分間違いなくそう
例えば、風邪でも「熱が出る人」と「熱が出ない人」がいます。
私の患っている「全身性エリテマトーデス」で言えば日光過敏の症状が「出る人」と「出ない人」がいる。
つまり、
と断言できないのです。
「障害年金」は難病などの起因に関係無く「障害の状態」である事を証明できれば受給できます。
しかし、私含め難病患者が「障害年金」の給付を受けるハードルが高いのは「障害の状態」である事を証明するのが難しいからです。
ポイント
⇒難病患者の場合は自分の症状で「障害の状態」に該当するか判断
【参考】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(日本年金機構)
日光過敏は障害の状態に該当するのか?
私の場合日光に当たっていると体の中から具合が悪くなり動けなくなります。
これが、「その他の疾患による障害」に該当する可能性があるようです。
【その他の疾患による障害】
■1級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
引用:第18節/その他の疾患による障害 (厚生労働省資料PDF)より
■2級
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
引用:第18節/その他の疾患による障害 (厚生労働省資料PDF)より
■3級
身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの
引用:第18節/その他の疾患による障害 (厚生労働省資料PDF)より
文面では日常生活に影響が出る事を条件としていますが、具体的にどう日常生活に影響がでるレベルであるとは明言されていません。
つまり若干ふんわりしており、私の症状である「日光を浴びると具合悪くなるので(長時間)外にでられない」という事が「障害の状態」に該当するかは申請をしてみないとわかりません。
ですので、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群以外の膠原病(こうげんびょう)はもちろん、その他の難病や傷病でも「その他の疾患による障害」に該当すると認定されれば「障害の状態」を満たす事ができます。
ポイント
【参考】国民年金・厚生年金保険 障害認定基準(日本年金機構)
3:保険料の納付要件
初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていることが必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
引用:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法(日本年金機構)より
どちらか片方を満たせばいいです。
文章だと難しいですが、「保険料の給付要件」を満たしているかは、年金保険料の支払い全期間を通して2/3の支払いが出来ていない場合、初診日の前々月から1年間遡って「年金保険料の未納」がなければ給付を受けられます。
例:初診日が平成26年9月
初診日の前々月である平成26年7月から1年遡り平成25年8月の間に「年金保険料の未納」がなければOK。
添付では「免除」があるが「未納」ではないのでOK。
※受給額には影響あり
ここまでのまとめ
「障害年金」の給付を受けるには、
- 規定以上年金保険料を支払う
- 規定以上「障害の状態」である事
の2つが条件になります。
特に「障害の状態」は明らかに日常生活に支障をきたすレベルです。
考え方としては日常生活に支障をきたすほどの障害がある方に対しての「セーフネット」ですので「障害年金」の受給者は人口の2%と低いのも当然かも知れません。
「障害年金」は金額ベースでいくら位給付されるのか?
「障害年金」で給付される額は、
- 「初診日」の時点で加入していた年金の種類
- 支払った年金保険料の金額
- 障害の等級
で決定します。
「加入している年金の種類」と「障害の等級」からある程度の給付金額は想定できますが、加入期間と支払った保険料によって変動するので、
という厳密な金額が知りたい場合は「年金事務所」に確認をしてもらうのが一番です。
ここでは「加入している年金保険の種類」と「障害の等級」に応じて給付される金額の下限を紹介します。
国民年金加入なら「障害基礎年金」のみ
「初診日」の時点で加入している年金が国民年金の場合です。
このケースには自営業やフリーランスの方などが該当します。
給付される金額は、障害の等級に準じて、
- 1級:779,300円×1.25+子の加算
- 2級:779,300円+子の加算
となっています。
上記は年額なので、子がいない前提で毎月いくら給付されるかというと、
- 1級:77,930円/月
- 2級:約64,941円/月
となります。
「障害基礎年金」は「障害等級3級」の場合支給されません。
ポイント
▼障害等級1級 = 77,930円/月が給付(子がいない場合)
▼障害等級2級 = 約64,941円/月が給付(子がいない場合)
【参考】障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法(日本年金機構)
厚生年金加入なら「障害基礎年金」と「障害厚生年金」を受給できる
「初診日」の時点で加入している年金が厚生年金の場合です。
このケースにはサラリーマンの方などが該当します。
受給額
となり、前述した「障害基礎年金」に加えて「障害厚生年金」が給付されます。
「障害厚生年金」で給付される金額は、「障害基礎年金」同様に障害の等級に準じます。
障害厚生年金受給額
- 1級:(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
- 2級:(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
- 3級:(報酬比例の年金額) 最低保障額 584,500円
上記のようになっており、「障害厚生年金」は「障害等級」が3級でも給付されます。
ここで「報酬比例の年金額」という言葉が出て来るが、これが年金保険料の加入・支払い期間で給付金額が変わる要因になります。
報酬比例の年金額
1:平均報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数
2:平均報酬月額 × 5.481/1000 × 平成15年4月以降の被保険者期間の月数
1 + 2 = 【報酬比例の年金額】
平均月給が20万円で31歳(年金加入・支払い期間が10年[120か月])とすると、
報酬比例の年金額
となる。
子も配偶者もおらず、平均月給が20万円で31歳(年金加入・支払い期間が10年[120か月])とすると、
- 1級:131,544 × 1.25 / 12(ヵ月) = 約13,702円/月【障害基礎年金:77,930円/月を更に加算】
- 2級:131,544 / 12(ヵ月) = 10,962円/月【障害基礎年金:約64,941円/月を更に加算】
- 3級:584,500 / 12(ヵ月) = 約48,708円/月【障害基礎年金:0円】
が受給額となる。
【参考】障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法(日本年金機構)
難病患者が「障害年金」を貰うには審査が必要
これまでの説明で触れましたが、「障害年金」の給付は給付条件を全て満たす必要があり、特に難病患者は「障害の状態」である事を証明しなければいけません。
それは「病名」ではなく客観的な状態を示しています。
そして申請、審査には専用の申込用紙や医師に規定の書式で診断書を書いてもらう必要があります。
この辺りが「難病患者」の「障害年金」申請、審査が煩雑な所以です。
まとめ
この記事で書いた事
- 「障害年金」の概要
- 難病患者でも「障害年金」を受け取れる可能性がある
次回の記事で実際の申請方法(私が実際に申請)を紹介していきます。
「難病」に限らず病気の症状は人によってばらつきがあります。
更に「障害の状態」が「日常生活に影響」というふんわりした内容に着目した場合、自分の症状(状態)を伝え「障害年金」の給付申請手続きをしても「障害の状態」であるとみなされず給付されないかも知れません。
判断する方も客観的な指標ではないので難しいはずです。
それでも、給付される可能性があるなら給付申請をして保障を受け、生活の下支えとする事をお勧めします。
【2018年8月30日追記】
先日、病状が良くならず「セカンドオピニオン」を受けてきました。
結論からいうと、医師的には私の状態だと「障害年金」の受給資格は満たさないだろうとの判断でした。
そのため、これ以降の手順は一旦ストップし、主治医(ファーストオピニオン)の意見も聞いた上で判断したいと思います。
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⇒難病患者福祉手当(自治体の給付金制度)についての概要と申請手続き方法
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難病患者福祉手当
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