生活保護の介護扶助
- 介護サービスを自己負担0(無料)で受けられる
- 介護扶助の対象年齢は40歳以上
お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は生活保護の介護扶助について説明します。
介護扶助とは、介護サービスを介護費用の自己負担0(無料)で受けられる扶助です。
ただし、無条件ではありません。
さらに、大前提として介護扶助を受けられる年齢は40歳以上となります。
今回はそんな生活保護の介護扶助について
生活保護の介護扶助
- どんな扶助なのか
- 介護扶助をうける方法
を紹介します。
介護扶助は生活保護の扶助の種類
扶助の種類
- 生活扶助
- 住宅扶助
- 教育扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助
- 葬祭扶助
生活保護の扶助(費目)を分類すると8つに分類でき、介護扶助はその1つです。
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介護扶助とは?
介護扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要介護者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第三項に規定する要介護者をいう。第三項において同じ。)に対して、第一号から第四号まで及び第九号に掲げる事項の範囲内において行われ、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない要支援者(同条第四項に規定する要支援者をいう。以下この項及び第六項において同じ。)に対して、第五号から第九号までに掲げる事項の範囲内において行われ、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない居宅要支援被保険者等(同法第百十五条の四十五第一項第一号に規定する居宅要支援被保険者等をいう。)に相当する者(要支援者を除く。)に対して、第八号及び第九号に掲げる事項の範囲内において行われる。
一 居宅介護(居宅介護支援計画に基づき行うものに限る。)
二 福祉用具
三 住宅改修
四 施設介護
五 介護予防(介護予防支援計画に基づき行うものに限る。)
六 介護予防福祉用具
七 介護予防住宅改修
八 介護予防・日常生活支援(介護予防支援計画又は介護保険法第百十五条の四十五第一項第一号ニに規定する第一号介護予防支援事業による援助に相当する援助に基づき行うものに限る。)
九 移送
引用:生活保護法第15条の2 介護扶助(電子政府の総合窓口 イーガブ)より
つまり、介護サービスを自己負担0(無料)で提供してもらえます。
その他の扶助は、お金を支給されるものがほとんどですが、介護扶助は介護サービスが提供(現物支給)されます。
介護保険制度とは?
イメージ的には公的医療保険のようなもので、自身(被保険者)が月々の介護保険料を市区町村など(保険者)へ納める事で、介護サービスを受ける(受けた)時に、介護費用全額ではなく自己負担分(1割)のみを支払う制度です。
公的医療保険と介護保険の大きな違いは対象者(被保険者)で、
- 公的医療保険:全日本国民
- 介護保険:40歳以上の方
介護保険は40歳以上の方が対象(被保険者)となるので、介護扶助も40歳以上の生活保護受給者が対象となります。
公的医療保険も介護保険も、条件を満たす事で外国人も被保険者となり得ます
介護保険の対象(被保険者)
前述の通り、介護保険は40歳以上の方が対象(被保険者)ですが、更に第1号被保険者と第2号被保険者に分類されます。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 介護保険の被保険者ではない | ||
---|---|---|---|---|
生活保護ではない方 | 生活保護受給者 | 40歳以上65歳未満の生活保護ではない方 ※公的医療保険加入者 |
40歳以上65歳未満の生活保護受給者 ※公的医療保険非加入者 |
|
対象者 (被保険者) |
65歳以上の生活保護を受けていない方 | 65歳以上の生活保護受給者 | 40歳以上65歳未満の公的医療保険加入者 | 40歳以上65歳未満の公的医療保険非加入者 |
受給要件 |
原因は問わない |
原因は問わない |
老化に起因する疾病(特定疾病)による場合 |
老化に起因する疾病(特定疾病)による場合 |
保険料の徴収方法 |
|
※保険料は生活保護で支給される |
|
なし ※そもそも加入していない 介護サービスを利用した場合、生活保護(介護扶助)で現物支給(10割公費負担) |
介護サービス利用時の介護費用自己負担 | 1割 | 1割 ※生活保護の介護扶助で(現物)支給 |
1割 | 10割 ※生活保護の介護扶助で(現物)支給 |
上記の通り、第1号か第2号かは年齢で分けられ、介護保険の受給要件も変わります。
また、生活保護受給者(公的医療保険非加入者)に限っては40歳以上になっても介護保険の対象(被保険者)にはなりません。
保険証がある(公的医療保険に加入している)40歳以上65歳未満の生活保護受給者は第2号被保険者になります
生活保護受給者は(ほぼ)介護保険の非加入か第1号被保険者どちらか
前述の通り、生活保護受給者は、40~65歳未満だと介護保険に加入していない事になり、介護サービスを利用した際の介護費用は10割負担となります。
保険証がある(公的医療保険に加入している)40歳以上65歳未満の生活保護受給者は第2号被保険者になります
そしてこの10割負担分を生活保護の介護扶助で負担します。
65歳以上になると、生活保護受給者も介護保険の第1号被保険者になり、保険料の支払いが発生しますが、保険料は生活保護で支給されますので保険者(市町村と特別区)へ納付します。
保険者(市町村と特別区)への介護保険料納付は、払い込み用紙で納付する方法もありますが、最近は代理納付をする事も多いようです。
また、生活保護受給者が65歳以上になり、介護サービスを利用した際に発生する介護費用の自己負担分も介護扶助で負担されます。
受給要件は65歳以上(第1号被保険者)か40歳~65歳未満(第2号被保険者or介護保険非加入)で異なる
65歳以上(第1号被保険者)の介護保険受給要件は
ココがポイント
- 要介護状態
- 要支援状態
ですが、原因は問われませんので上記の状態になれば受給要件を満たします。
一方、40歳~65歳未満(第2号被保険者or介護保険非加入)の場合は、
ココに注意
- 要介護状態
- 要支援状態
※原因:老化に起因する疾病(特定疾病)による場合
状態は第1号被保険者と同じですが原因が特定疾病と限定されています。
特定疾病は、
特定疾病
- がん(末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
と定義されています。
参考介護保険制度について(厚生労働省 PDF)
参考要介護認定はどのように行われるか(厚生労働省 ホームページ)
介護扶助を受ける方法
担当のケースワーカーに相談しましょう。
介護扶助は原則として、生活保護受給者の申請により開始されます。
急迫した状況にある場合は申請がなくとも必要な保護が行われます
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まとめ
生活保護の受給条件に、援助してくれる親族や身内がいないという条件があります。
この条件を満たしているからこそ、生活保護を受給している訳で、生活保護受給者が介護を要したら、確実に介護サービスを利用することになります。
その場合でも、生活保護受給者は自己負担0(無料)で介護サービスを受けられますので、ひとまずは安心と言えます。
ただ、いざそうなったとしても、生活保護受給者の方から介護扶助の利用申請をしなければいけません。
「要介護や要支援」の認定がされているだけでは介護扶助は受けられませんので、忘れずに介護扶助の申請をしましょう。