生活保護の葬祭扶助
- 葬祭にかかる費用を支給
- 支給を受けるのは「葬祭を行う者」
- 条件はあるが「葬祭を行う者」が生活保護を受給していない場合でも支給される
- 直葬(通夜・告別式を行わない)となる
お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は生活保護の葬祭扶助について説明します。
葬祭扶助は、生活保護受給者が亡くなった際に葬祭費用が支給される扶助を言います。
もちろん、生活保護受給者自身が亡くなっていますので、葬祭扶助は「葬祭を行う者」に支給されます。
そして葬祭扶助の受給には条件がありますので、必ず貰えるわけではありません。
今回はそんな生活保護の葬祭扶助について
生活保護の葬祭扶助
- どんな扶助なのか
- 支給される費用
- 葬祭扶助を受けるために「葬祭を行う者」となった場合する事
を紹介します。
葬祭扶助は生活保護の扶助の種類
扶助の種類
- 生活扶助
- 住宅扶助
- 教育扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
- 出産扶助
- 生業扶助
- 葬祭扶助
生活保護の扶助(費目)を分類すると8つに分類でき、葬祭扶助はその1つです。
ただ、葬祭扶助は亡くなった生活保護受給者本人ではなく、「葬祭を行う者」に支給される(条件あり)というのが、その他の扶助とは決定的に違います。
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葬祭扶助とは?
葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一 検案
二 死体の運搬
三 火葬又は埋葬
四 納骨その他葬祭のために必要なもの
2 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。
一 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。
二 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。
引用:生活保護法第18条 葬祭扶助(電子政府の総合窓口 イーガブ)より
つまり、生活保護受給者が無くなった場合、「葬祭を行う者」へ葬祭に関する費用が支給されます。
そして「葬祭を行う者」は親族以外でもなる事が可能です。
支給を受ける条件としては、「葬祭を行う者」が、困窮していたり、生活保護受給者の遺留した金品で葬祭費用を賄えない場合と定められています。
ですから、「葬祭を行う者」が生活保護を受給していない場合でも、条件を満たしていれば葬祭扶助は支給されます。
参考平成 30 年度生活保護実施要領等(厚生労働省 PDF)
葬祭扶助で支給される費用と支給額
葬祭扶助では費用に3つの種類があります。
また、葬祭扶助は葬祭地の級地基準と、大人か小人かで金額が変動します。
ただし、小人の葬祭に関する費用の実態が、大人と同じ金額に設定されている地域の場合、小人の葬祭であっても大人の額が適用されます。
対象においては、妊娠4か月以上で死産した場合も葬祭費の支給対象となります。
また、身元が判明しない自殺者に対して市町村が葬祭を行う場合、葬祭扶助は支給対象外になります。
No | 費用 | 支給額(大人) | 支給額(小人) |
---|---|---|---|
1 | 基準額 |
|
|
2 | 火葬費 |
|
|
3 | 運搬費 |
|
|
平成30年度(2018年度)データ
参考お住まいの地域の級地を確認(厚生労働省 PDF)
参考平成 30 年度生活保護実施要領等(厚生労働省 PDF)
1:基準額
基準額
- 1級地及び2級地:206,000円以内
- 3級地:180,300円以内
■基準額(小人):
- 1級地及び2級地:164,800円以内
- 3級地:144,200円以内
■特別基準額
あり
※後述
基準額には特別基準額が設定される項目がいくつかあります。
基準額の特別基準額
基準額の特別基準
- 死亡診断書または死体検案に要する費用(文書作成手数料含む)が5,250円を超える場合は超えた分を特別基準額として加算
- 火葬又は埋葬を行うまでの間、死体を保存するために特別な事情がある場合は必要最小限度の額が特別基準額額として加算
- 火葬費(後述)が上限額を超えた場合、超えた分を基準基準額として加算(条件あり)
2:火葬費
火葬費
- 1級地及び2級地:600円
- 3級地:480円
■火葬費(小人):
- 1級地及び2級地:500円
- 3級地:400円
葬祭地の市町村条例で設定された火葬費用が上記の金額を超えた場合は、超えた分を基準額に加算してもらえます。
3:運搬費
運搬費
- 1級地及び2級地:15,290円
- 3級地:13,380円
運搬費は大人と小人で金額の区別がされていません。
葬祭扶助を受けるには?
「葬祭を行う者」になる(可能性がある)とわかった時点で、お住まいの管轄福祉事務所に連絡、相談しましょう。
亡くなった本人と異なる市町村に住んでいる場合、まずはご自身(葬祭を行う者)の管轄福祉事務所に連絡して状況を説明しましょう。
重要なのは葬祭を行う前に連絡、葬祭扶助の申請する事で、事後報告だと葬祭する費用があったとみなされ、葬祭扶助の支給がされませんので注意が必要です。
まとめ
これまで説明した通り、葬祭扶助に関しては亡くなった生活保護受給者ではなく、主に親族や身内の方など(葬祭を行う者)が当事者になります。
人が亡くなるという事はとても大きなことで、平常心を保ち冷静な判断ができなくなりがちですが、生活が困窮している中で「葬祭を行う者」になる可能性がある場合、まずはお住まいの福祉事務所へ相談をしましょう。
また、葬祭扶助の支給金額から、葬祭は直葬(通夜・告別式を行わない)になります。
大々的な葬儀はとり行えませんので念頭に入れておきましょう。