生活保護

【生活保護】収入は一定の控除を受けて支給額から差し引かれる

2019年2月19日

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生活保護受給者が得たお金

生活保護受給者の収入

  • 収入があると生活保護の支給金額から差し引かれる
  • 収入金額全てが差し引かれる訳ではない(控除される)

お断り


本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください


るーしー
こんにちは!
膠原病でした」管理人「難病生活保護ブロガー」の「るーしー(@Lucy_SLE)」です

今回は生活保護受給者の収入と控除について説明します。

生活保護受給者は、収入があった場合、生活保護の支給金額から差し引かれます。

ただ、働いて得た金額全て生活保護の支給金額から差し引くと、

「働いたら負け」

と考える方も多くなります。

その為、生活保護では「勤労意欲の増進・自立助長」の観点からも、働いて得た収入金額の全てを差し引く事はせず、一定の金額を控除(差し引かない)してもらえます。

という事で今回は、生活保護受給者が収入を得た場合に出てくるであろう疑問、

生活保護受給者の収入


  1. 収入の報告(義務)
  2. そもそも控除とは
  3. 控除の種類
  4. どの位控除されるか


を紹介します。

本記事では平成30年度(2018年度)のデータを用いて記事を書いております

長老様
続きは参加ランキングのクリック協力をしてから読み進めてもらえると助かるぞい

【大前提】生活保護受給者は毎月全ての収入を福祉事務所へ報告しなければならない

福祉事務所に収入の報告をする生活保護受給者
どんな収入だろうと毎月福祉事務所へ報告が必要です。

例えば

報告が必要な収入


  • 働いて得た収入
  • 親族の援助
  • 知人からの借金
  • (障害)年金
  • 手当金
  • パチンコで勝ったお金
  • など、例外なく全ての収入


上記の通りですが、収入はもちろん、借金も収入としてみなされますので報告が必要です。

パイナポー
そっか。
こうやって生活保護受給者一人一人の収入を、福祉事務所が把握して支給金額から差し引くのね
そう!
だから収入の報告はとても重要で、虚偽申告は法の元で罰せられる可能性もあるんだ
るーしー
長老様
収入報告については「【生活保護】毎月の収入は「収入申告書」で福祉事務所に報告が必要」の記事で詳しく紹介しておるからの

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生活保護で支給されるお金の考え方

生活保護でいくら支給されるか考える男性
生活保護受給者一人一人(世帯ごと)に最低生活費が設定され、全ての収入を足しても最低生活費に満たない分が支給されます。

生活保護の考え方

■最低生活費:15万円の場合

アルバイト:5万円
障害年金:5万円
10万円の収入

最低生活費の15万円に満たない5万円を支給
※ここでは控除について考慮せず

このような感じですね。

生活保護受給者の収入は、前述の通り毎月の収入報告で福祉事務所が把握します。

長老様
最低生活費については「【生活保護】最低生活費とは?」の記事で詳しく紹介しておるからの

収入が控除されないと不公平になる

収入の扱いが不公平で怒る生活保護受給者
ここで、最低生活費が150,000円の生活保護受給者が2人いたとします。

1人は収入が0円で、もう1人は30,000円の収入があったとしましょう。

その場合、

■最低生活費150,000円の2人

  • 収入0円:150,000円が支給
  • 収入30,000円:収入分を差し引き120,000円が支給

となった場合まさに不公平で、

「働いたら負け」

と思う方も出てきます。

ですから、このような不平等感を払拭すべく、「勤労意欲の増進・自立助長」の観点からも、収入があった場合は一定の額を収入としてみなさなず、支給額から差し引かないという考えが控除です。

パイナポー
確かにもらえる金額が決まっていて、働いて得た金額が全額生活保護の支給額から差し引かれたら、働いている方がバカを見る感じがして悔しいわね
うん。
働けない事情があったりもするから一概には言えないけど、少なくともモチベーションは下がるよね
るーしー
長老様
ふぉっふぉっふぉ。
では控除を受けるとどうなるか説明するぞい

収入の控除を受けると最低生活費以上が手元に入る事になる

収入の控除を受け喜ぶ生活保護受給者
前述の、最低生活費が150,000円で収入30,000円あった方を再び例にしましょう。

収入全額の30,000円から16,400円の控除が受けられます(基礎控除)。
※基礎控除は後述

つまり、3万円の収入から16,400円差し引かれ、

■最低生活費が150,000円

  • 収入:30,000円
  • 基礎控除:16,400円
  • 収入としてみなされる(収入認定)金額:30,000円 - 16,400円 = 13,600円
  • 支給額:150,000円(最低生活費) - 13,600円(収入認定額) = 136,400円

支給額と収入を併せると136,000円 + 30,000円 = 166,000円
となり、最低生活費を16,600円上回った金額を得られる

となります。

ですから、収入がある場合は最低生活費以上の金額を得る事が可能になります。

このように控除して、働いて収入を得る方の不公平感を払拭し、働くモチベーションの維持を促しています。

パイナポー
まあ確かに全額とまではいかなくても、働いた分が無駄にならずある程度手元に残るなら働く意欲は維持できそうね
うん!
そうだね
るーしー
長老様
という事で控除について詳しく説明していくぞい
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収入の控除の種類

生活保護受給者の控除の種類

収入の控除の種類


  • 勤労控除
  • 実費控除


となります。

勤労控除と実費控除は併せて受ける事が出来ます。

例えば、基礎控除(後述)を受けて実費控除も受けるという具合ですね。

るーしー
勤労控除は3種類ありますので、詳しく見て行きましょう

勤労控除の種類

勤労控除の種類


  1. 基礎控除
  2. 新規就労控除
  3. 未成年者控除

るーしー
沢山ありますが1つずつみて行きます

1:基礎控除

生活保護の基礎控除
働いて得た就労収入のうち、15,000円までは全額控除されます。

15,000円を超えた場合、収入金額別に区分を設定し、その各区分ごとに控除額が定められています。

基礎控除額一覧表

収入金額区分 1人目 2人目以降
0 ~ 15,000 0 ~ 15,000 0 ~ 15,000
15,001 ~ 15,199 15,001 ~ 15,199 15,000
15,200 ~ 18,999 15,200 15,000
19,000 ~ 22,999 15,600 15,000
23,000 ~ 26,999 16,000 15,000
27,000 ~ 30,999 16,400 15,000
31,000 ~ 34,999 16,800 15,000
35,000 ~ 38,999 17,200 15,000
39,000 ~ 42,999 17,600 15,000
43,000 ~ 46,999 18,000 15,300
47,000 ~ 50,999 18,400 15,640
51,000 ~ 54,999 18,800 15,980
55,000 ~ 58,999 19,200 16,320
59,000 ~ 62,999 19,600 16,600
63,000 ~ 66,999 20,000 17,000
67,000 ~ 70,999 20,400 17,340
71,000 ~ 74,999 20,800 17,680
75,000 ~ 78,999 21,200 18,020
79,000 ~ 82,999 21,600 18,360
83,000 ~ 86,999 22,000 18,700
87,000 ~ 90,999 22,400 19,040
91,000 ~ 94,999 22,800 119,380
95,000 ~ 98,999 23,200 19,720
99,000 ~ 102,999 23,600 20,060
103,000 ~ 106,999 24,000 20,400
107,000 ~ 110,999 24,400 20,740
111,000 ~ 114,999 24,800 21,080
115,000 ~ 118,999 25,200 21,420
119,000 ~ 122,999 25,600 21,760
123,000 ~ 126,999 26,000 22,100
127,000 ~ 130,999 26,400 22,440
131,000 ~ 134,999 26,800 22,780
135,000 ~ 138,999 27,200 23,120
139,000 ~ 142,999 27,600 23,460
143,000 ~ 146,999 28,000 23,800
147,000 ~ 150,999 28,400 24,140
151,000 ~ 154,999 28,800 24,480
155,000 ~ 158,999 29,200 24,820
159,000 ~ 162,999 29,600 25,160
163,000 ~ 166,999 30,000 25,500
167,000 ~ 170,999 30,400 25,840
171,000 ~ 174,999 30,800 26,180
175,000 ~ 178,999 31,200 26,520
179,000 ~ 182,999 31,600 26,860
183,000 ~ 186,999 32,000 27,200
187,000 ~ 190,999 32,400 27,540
191,000 ~ 194,999 32,800 27,880
195,000 ~ 198,999 33,200 28,220
199,000 ~ 202,999 33,600 28,560
203,000 ~ 206,999 34,000 28,900
207,000 ~ 210,999 34,400 29,240
211,000 ~ 214,999 34,800 29,580
215,000 ~ 218,999 35,200 29,920
219,000 ~ 222,999 35,600 30,260
223,000 ~ 226,999 36,000 30,600
227,000 ~ 230,999 36,400 30,940
231,000 ~

※収入金額が231,000円以上の場合は、収入金額が4,000円増加する事に、1人目:400円、2人目以降:340円を控除額に加算

単位は円

2人目以降とは、同一世帯内で働いている人が2人以上いた場合、2人目以降に適用される控除額です。

同一世帯に複数の就労者がいる場合、その就労に関連する経費には共通する部分があるという考え方から、1人目よりも控除される額が少なくなっています。

パイナポー
つまり世帯に3人働き手がいたら、1人目の控除額より2,3人目の控除額が少なくなるってことね
そう!
そういうこと!!
るーしー

参考平成 30 年度 生活保護実施要領等(厚生労働省PDF)

基礎控除を受けるための手続き

基礎控除を受けるためには、毎月福祉事務所へ収入報告をしなければいけません。

逆に言えば、毎月しっかりと福祉事務所へ収入報告をしていれば、福祉事務所側で控除額を計算、適用してくれるので、生活保護受給者が何かする必要はありません。

長老様
ちなみに、収入の認定には1か月ほどかかるんじゃ。
じゃから例えば1月の収入分は2月の支給額で控除・差し引かれるからの
そうして、収入がどの位控除されて、支給額がいくらになったかは、保護決定通知書に記載され自宅へ届きます
るーしー

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2:新規就労控除

新規就労控除を受けて喜んでいる生活保護受給者
新たに継続性のある仕事に就いた場合、収入から一定期間、一定額を控除するもの。

対象は中学、高校、大学などの学校を卒業した方の他、入院やその他やむを得ない事情で3年以上仕事に就けなかった方も含まれます。

新規就労控除


  • 期間:就労から6か月間
  • 控除金額:11,100円(月額)

更に、新規就労控除は基礎控除と併せて受ける事ができるので、

  • 控除額 = 基礎控除(15,000円~) + 新規就労控除(11,100円)

となり、新規就労控除を受けられる6か月間は最低でも26,100円の控除を受ける事ができます。

るーしー
もちろん実費控除(後述)も併せて受けられます

新規就労控除を受けるための手続き

自身が新規就労控除の対象だった場合はケースワーカーさんに伝えましょう。

といっても、普通は生活保護受給者が「新規就労控除」という制度を知っているはずがありません。

ですから、新たに仕事に就いた場合ケースワーカーさんに報告をしますので、新規就労控除の対象だった場合はケースワーカーさんが適用してくれるはずです。

新規就労控除の対象だったが適用されていない場合はケースワーカーさんに相談しましょう。

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3:未成年者控除

未成年で就労した生活保護受給者
未成年が働いた場合、収入から一定額を控除するもの。

ただし、単身者や配偶者とのみで独立した世帯を営む者等の一定の条件にある場合は適用されません。

未成年者控除


  • 控除金額:11,400円(月額)


未成年者控除は、適用条件を満たしてさえいれば継続して控除を受けられます。

更に、未成年者控除は基礎控除と併せて受ける事が出来るので、

  • 控除額 = 基礎控除(15,000円~) + 未成年者控除(11,400円)

となり、未成年者控除を受けられている間は最低でも26,400円が控除されます。

るーしー
もちろん実費控除(後述)も併せて受けられます

未成年者控除を受けるための手続き

ケースワーカーさんに報告・相談しましょう。

新規就労控除と同様、仕事に就くタイミングでケースワーカーさんが気付いて適用してくれるはずです。

仕事に就いてからも新規就労控除が適用されていない場合はケースワーカーさんに相談しましょう。

るーしー
勤労控除は以上ですので、最後に実費控除の説明をします
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実費控除

経費として実費控除を受けた手袋
仕事の為に使ったお金を収入から控除してもらえます。

実費控除の対象


  • 現場作業の為買った手袋
  • 現場作業の為現場までの電車賃
  • 現場作業の為買った工具
  • 記事を書くための参考文献(書籍)購入
  • など


こちらは収入というよりは支出ですが、仕事の為にお金を使ったので、経費として使った金額分だけ収入の控除を受けるというイメージです。

るーしー
前述の通り、実費控除は[基礎控除・新規就労控除・未成年者控除]と併せて受ける事ができます

実費控除を受けるための手続き

レシートや領収書を福祉事務所に提出します。

毎月の収入報告で、収入申告書を福祉事務所に送りますので、その時に同封して構いません。

レシートや領収書に付箋を貼って、仕事で使ったものだと明記すれば実費控除として対応してもらえます。

もちろん福祉事務所に電話して、ケースワーカーさんに実費控除を受けたい支出のレシートや領収書を送ったと伝えても構いません。

一点だけ、仕事の為に使ったお金の全てが実費控除の対象になる訳ではありませんので注意しましょう。

どこまでなら実費控除してもらえるという線引きは、担当ケースワーカーさん、自治体によって大きく変わる可能性があります。

繰り返しますが、生活保護は各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください

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まとめ

これまで説明した通り、生活保護を受給していても

「働いたら負け」

ではありません。

働いて得た収入は控除を受ける事が出来るからです。

そうする事で、最低生活費以上が手元に入りますし、安定した金額の収入を継続して得られれば、生活保護の返上にもつながります。

ちなみに、私はブログで収入を得ていますが、収入をきちんと報告して勤労控除の適用をしてもらえています
るーしー
長老様
ふぉっふぉっふぉ。
ブログ収入で勤労控除が適用されるのは非常に稀な事じゃ。
るーしーがどうやって勤労控除を適用してもらったかは「この記事」で詳しく紹介しておるぞい
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パイナポー



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