お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は生活保護受給者が家賃を滞納した場合について説明します。
結論から言うと、生活保護受給者がどれだけ家賃を滞納しても、追加でお金を支給してもらう事はできません。
そもそも住宅扶助(家賃)という名目でお金が支給されていますので、そのお金を違う目的で使って補填される訳がありません。
ただ、生活保護受給者が万が一家賃を滞納してしまった場合、
このような疑問は少なからずあります。
という事で今回は、生活保護受給者が家賃を滞納した場合、
家賃滞納した場合
- 滞納した家賃はどうなるのか?
- 賃貸契約を解除されたらどうなるのか?
を紹介します。
繰り返しますが、生活保護は各自治体の裁量が大きく、自治体によって対応が異なる場合があります
生活保護受給者が家賃の支払いを滞納した場合どうなる?
滞納した家賃が1か月だろうが半年だろうが、追加でお金を支給してもらう事はできません。
冒頭でも説明した通り、生活保護では住宅扶助(家賃)が毎月支給されています。
それを家賃として使わなかったのは、完全に自業自得となります。
まあ、住宅扶助(家賃)はお金で支給されるから、他の目的に使われたり、万が一の時に使ってしまったりという事が現実問題としてある訳ね
そうなるね
滞納した家賃は大家さん(管理会社)と交渉し分割払いなどにしてもらう
多くの場合は、延滞した家賃を毎月支払える金額(3,000円とか)で返済させてもらうように、大家さん(管理会社)と交渉する事になります。
例えば、毎月の家賃支払い時に、滞納分がなくなるまで家賃プラス3,000円を支払い続けるなどですね。
そして、賃貸契約は借主(生活保護受給者)と貸主(大家さん)との契約になりますので、そこに役所(生活保護を管理している福祉事務所やケースワーカー)が介入する事はありません。
発生した家賃滞納というトラブルについての解決策は、基本的に自身と大家さんとの間で取り決める事になります。
家賃滞納すると賃貸契約に基づき賃貸契約を解除される事も
家賃滞納すると、賃貸契約に基づいて家賃滞納が理由で賃貸契約を解除される場合があります。
もちろん、滞納分の分割払いで折り合いがつかない場合も、契約解除に繋がる可能性があります。
そしてその場合は退去をする事になります。
当然ですが、福祉事務所やケースワーカーでもどうしようもできません。
契約解除といっても、明日出て行ってくれという話にはならず、「1か月後の●月×日まで退去」とか、ある程度余裕を持って言い渡される事がほとんどのはずだよ。
その間に入居できる部屋を探す訳ね
そうなるね
家賃滞納で賃貸契約を解除されても生活保護が停止・廃止される事は少ない
生活保護の停止や廃止は、その人の命に関わりますから安易に停止・廃止される事はありません。
家賃滞納は、どんな理由があろうと完全に借主(部屋を借りる側)に非がありますが、だからと言って家賃滞納をしたから生活保護を停止しますとはならない事が多いようです。
常習だった場合など、当事者と自治体によって対応も異なってくる可能性があります
この記事に家賃滞納を推奨する意図は一切ありません
生活保護が停止・廃止されるケース
【当たり前】賃貸契約を解除された場合も滞納した家賃は支払わなければならない
当然ですが、賃貸契約を解除されたからといって、滞納した家賃が無くなる訳ではありません。
滞納分をどうやって払うかは貸主(大家さん)としっかり話しあって決定します。
例えば、「毎月3,000円支払い続ける」などですね。
もちろん、このお金は生活保護で追加支給されませんので、生活扶助(生活費)から切り崩して支払う事になります。
実際そうなった場合身の振り方はどうなるの?
説明していくね
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家賃滞納が原因で契約解除や退去になった(なりそうな)場合どうするか
契約解除や退去になった(なりそうな)場合
- ケースワーカーに報告
- ケースワーカーに契約可能な物件の条件を出してもらう
- 物件を探す
- 物件を契約
- 引っ越し
という流れになります。
1:ケースワーカーに報告
家賃滞納が原因で契約解除や退去になった(なりそうな)事を速やかにケースワーカーに報告しましょう。
前述の通り、役所(ケースワーカー)が賃貸契約に介入はできませんが、現状についてのアドバイス(分割払いの交渉提案 など)をしてくれます。
ただし、あくまで賃貸の契約者は自身ですので、大家さん(貸主)との交渉を代わってもらったりという事は出来ません。
アドバイスを活かして、大家さん(貸主)との交渉が上手く行き、契約解除や退去を回避できたらそれで一件落着です。
が、うまく行かずに契約解除や退去となる場合もあります。
その場合は、契約解除(退去日)までに入居できる物件を探して契約する事になるので、続けて説明していきます。
2:ケースワーカーに契約可能な物件の条件を出してもらう
一点注意したいのが、契約解除(退去日)までに入居できる物件ならなんでも良い訳では無いという事。
住宅扶助(家賃)は世帯構成とお住まい(級地)で限度額が設定されており、限度額以上の家賃物件には、契約解除(退去日)までに入居できるとしても契約できません。
また、敷金や礼金などの初期費用と、引っ越し費用も生活保護でまかなう事になりますで、ケースワーカーさんに契約可能な条件を出してもらいましょう。
3:物件を探す
ケースワーカーさんに出してもらった条件内で、契約解除(退去日)までに入居できる物件を探します。
物件を見つけたら、不動産会社に初期費用(敷金、礼金 など)の見積もりを出してもらってケースワーカーさんに提出します。
ここでOKが出たら、物件の契約を進めていく流れになります。
4:物件を契約
初期費用を支払い賃貸契約の締結をします。
賃貸契約書の原本と契約時の領収書はケースワーカーさんに提出する事になります。
賃貸契約書の原本は後日返却されます
4:引っ越し
引っ越し費用も生活保護受給者は支給されますが、無条件ではありません。
複数の引っ越し業者に合い見積もりを取り、最も安い引っ越し業者にお願いする事になります。
以上で賃貸契約解除から、新たな住まいまでの引っ越しが完了です。
まとめ
これまで説明した通り、生活保護受給者が家賃滞納してもお金は追加で支給されません。
そして当たり前ですが、賃貸契約を解除される可能性もありますし、滞納した家賃は必ず支払わなければなりません。
ただ、家賃滞納し賃貸契約を解除されても、生活保護が停止・廃止される事は考えにくいです。
更に、賃貸契約を解除されても、新しい住まいに引っ越すまでの初期費用(敷金・礼金 など)や引っ越し費用も支給されます。
だからと言って住宅扶助(家賃)を他の目的に使用して、家賃滞納するような事は止めましょう。
万が一が起きて、生活扶助(生活費)だけではカバーできないようなら、ケースワーカーさんに相談をしてみる事です。
勿論どんな出費かによりますが、追加で扶助してもらえる可能性もあるのですから。