借金がある方
- 借金があっても生活保護の申請・受給は可能
- まずは債務整理をするため法テラスを紹介される
- 生活保護費で借金を返済する事は禁止されている
- 借金があっても生活保護費は差し押さえされない
お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は借金があっても生活保護の申請や受給ができるのかについて説明します。
結論から言うと、借金があっても生活保護は申請や受給ができます。
ただし、借金が全く無い人と同じ扱いにはなりません。
というのも、借金のある人が、生活保護の相談・申請をするため福祉事務所(生活保護を管理している事務所)を訪れると、まず債務整理をするよう法テラスの紹介がされます。
そこで債務整理をして生活保護をうける事になりますが、生活保護受給中は借金の返済が禁止されていたり、注意しなければいけない点もあります。
という事で、今回は借金のある方が
借金のある方
- 生活保護の申請をする際に借金がない人とどう違うのか
- 生活保護を受けたら注意する事
- 生活保護受給後に借金できるのか
- 生活保護受給後に借金をしたらどうなるのか
を紹介します。
【大前提】借金があっても生活保護の申請はできる
冒頭でも触れましたが、借金があっても生活保護の申請・受給は出来ます。
生活保護の要件は、「あらゆるものを利用しても収入が最低生活費に満たない」場合に受けられると定義されています。
要件はそれだけなので、借金があろうが、お金の無い原因がなんだろうが、ホームレスだろうが生活保護の申請は可能です。
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じゃあ借金があった場合でも、福祉事務所(生活保護を管理する事務所)に行けば生活保護の申請ができるのね
ただし、借金がない人と同じ流れにはならないんだ。
まずは今ある借金の整理をする事になるから説明していくね
生活保護の相談や申請時に借金がある場合は債務整理をするため法テラスが紹介される
生活保護の相談や申請で福祉事務所(生活保護を管理している事務所)を訪れると、まずは債務整理をするため法テラスを紹介されます。
生活保護を管理している福祉事務所は、借金について関与・介入する事ができませんので、まずは紹介された法テラスを利用して借金の整理をする事になります。
法テラスでは、お金がない方でも法律相談や債務整理ができるような仕組みになっているから、少し説明するね
法テラスとは?
法テラス(正式名称:日本司法支援センター)とは、国が設立した法的トラブル解決の為の総合案内所です。
法テラスでは、条件を満たせば、法テラスに登録・契約している弁護士や司法書士に無料で法律相談ができます(民事法律扶助業務)。
ただし1つの問題につき3回(1回30分程度)まで
参考かんたん解説「法テラス」(日本司法支援センター 法テラス)
法テラスでは費用の立て替えをしてくれる
法テラスでは、前述した無料相談だけでなく債務整理するにあたって必要になる、費用の立て替えもしてくれます。
具体的にいうと、
債務整理にかかる費用
- 交渉や調停、裁判など、手続きの代理を弁護士や司法書士に依頼した場合の費用(代理援助)
- 裁判所に提出する書類の作成を司法書士や弁護士に依頼した場合の費用(書類作成援助)
引用:費用を立て替えてもらいたい(日本司法支援センター 法テラス)より
上図の通り、利用者が弁護士や司法書士に支払うべき費用を、法テラスが立て替え払いしてくれます。
そうして立て替えてもらった費用を、利用者が法テラスへ分割で支払う事になりますので、お金が無い状態でも債務整理が可能です。
こうして借金の債務整理をしてから生活保護の申請に入る訳ね
そうなるね!!
ちなみに債務整理の結果、自己破産する事になっても生活保護は申請、受給できるから安心してね
それが注意点でもあるから詳しく説明するね
法テラスの無料相談や債務整理は、その人に合わせて実施されていく運びになりますので、この記事では言及しません。
法テラスを利用すれば、無料相談が受けられ、手続きにかかる費用を立て替えてもらう事もできるという事を覚えておきましょう
参考費用を立て替えてもらいたい(日本司法支援センター 法テラス)
【注意点1】生活保護費で借金を返す事は禁止されている
生活保護で必要だと考えられている、最低生活費は借金の返済が考慮されていないからです。
そして生活保護費は税金ですから、生活保護費で借金を返すという事は、その人の借金を税金で返す事になりますので認められません。
同じような理由で、住宅ローンがある場合も生活保護が受給できません。
生活保護で受給したお金は、あくまで最低限度の生活を送るために使うものです。
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生活保護受給者が借金を返済したら不正受給になる
もしも生活保護費で借金を返した場合、不正受給になってしまい何かしらのペナルティを受ける可能性が非常に高いです。
判断やペナルティの重さは、その時の状況と自治体、ケースワーカーによるでしょう
実は、生活保護で支給されたお金は用途を限定されていません。
最低限度の生活を送る名目で、お酒を買おうが、パチンコをしようが自由ですが、借金の返済は許されません。
一部の自治体では生活保護費でギャンブル(パチンコなど)する事を条例で禁じています
だから生活保護の申請前に債務整理が勧められる訳ね
そういうこと!!
ただ、生活保護受給が借金をしても損にしかならないから少し説明するね
【注意点2】生活保護受給者が借金をすると収入認定され2倍の額を負担する事に
生活保護受給者でも、借金が「できる」か「できない」かで言えば「できます」。
消費者金融などでは(情報を偽らない限り)無理でしょうが、知人や親族に借金をしたり、持っていたクレジットカードでキャッシングしたりする事はできます。
ただし、生活保護の制度として借金は収入になりますので、借金した金額分収入報告をしなければなりません。
上↑の画像は収入申告書といい、生活保護受給者が収入を報告する書類です。
生活保護受給者は、毎月福祉事務所へ収入を報告する義務が生じます
この収入申告書にも、報告する収入の中に「借入金」と明記されていますので、借金も収入として報告が必要です。
こうして借金も報告する事で、借金した金額分が収入とみなされ、生活保護受給額から差し引かれます。
さらに借金はそのまま残るので、借金した金額の2倍を負担する事になります。
生活保護受給者が借金をすると
1:10,000円の借金(要返済)
2:生活保護の支給額が10,000円減額
⇒合計20,000円の負担
以上から、借金をする事は状況を悪化させるだけなのでお勧めできません。
ちなみに、生活保護受給中に借金をしても借金の返済はしちゃだめなの?
判断と対応は自治体によって変わる可能性はあるかも知れないけど、借金したお金の返済分が支給される事は絶対にないよ
じゃあ内緒で借金したら?
生活保護受給者は、生活保護の申請時に自分の銀行口座などの残高照会を福祉事務所がする事に対して同意しますという同意書を書くんだ。
だから生活保護を受けている限り、怪しいと思ったら、福祉事務所が直接金融機関に対してその人の口座状況を問い合わせできる
それは絶対バレるわね
バレるとペナルティもあるからやめた方がいいね
生活保護費が差し押さえられる事はない
被保護者は、既に給与を受けた保護金品及び進学準備給付金又はこれらを受ける権利を差し押さえられることがない。
引用:生活保護法 第58条 差押禁止(電子政府の総合窓口 イーガブ)
つまり、生活保護で支給されたお金は、法律で差し押さえが禁止されています。
前述しましたが、生活保護では最低限度の生活を送るための金額を支給しています。
それを差し押さえるという事は、「国が保障している最低限度の生活を送る事が出来なくなる」という事です。
したがって、借金があろうと生活保護費が差し押さえられる事はありません。
そして生活保護を受給できる時点で、差し押さえられる財産、資産はありませんので、実質的に生活保護受給者が差し押さえをされる可能性は非常に低いです。
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例外として持ち家が認められている場合は差し押さえられる可能性も
持ち家が認め垂れた生活保護受給者が、持ち家を担保にし、生活保護受給者である事を隠して借金をした場合、借金を返せず持ち家が差し押さえるというケースは非常に稀ですがあるようです。
ただ、そもそも生活保護受給者である事を内緒にして借金をしていますから、借金(収入)を偽って生活保護を不正受給した事にもなりえます。
この場合どうなるかは、状況と自治体によって対応も変わってくると思われます。
まとめ
借金があろうと生活保護は申請できますし、受給もできます。
ただし、最初に債務整理をする事になりますし、生活保護受給中は借金の返済をする事が禁止されています。
更に、生活保護の受給中は借金をしても損をするだけです。
ですから、生活保護の申請前にしっかりと債務整理を行う必要があると言えます。
しかし、
という状況の方も中にはいると思います。
そんな方達の為に、法テラスや生活保護制度があるので、上手く利用して社会復帰を目指しましょう。