お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は生活保護の家庭訪問を拒否や無視した場合について説明します。
結論から言うと、家庭訪問を拒否や無視した場合は、最終的に生活保護を停止や廃止される可能性もあります。
ただ、拒否や無視したら一発で即刻停止・廃止になる訳ではなく、ある程度段階を経て最終的に生活保護の停止や廃止になります。
もちろん、口頭で軽く
といった位では、生活保護の停止や廃止になりませんが、どの程度で拒否や無視になるのかも気になります。
という事で今回は、生活保護受給者が家庭訪問を拒否や無視したら
家庭訪問を拒否や無視したら
- どの程度で拒否・無視と判断されるのか
- 生活保護が停止・廃止されるまでの段階
- 各段階の詳しい説明
を紹介します。
この記事に、生活保護の家庭訪問を拒否・無視する事を推奨するような意図は一切ありません
【大前提】生活保護の家庭訪問は生活保護法第28条で定められた法定事項
保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第七十七条若しくは第七十八条(第三項を除く。次項及び次条第一項において同じ。)の規定の施行のため必要があると認めるときは、要保護者の資産及び収入の状況、健康状態その他の事項を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、当該要保護者に対して、報告を求め、若しくは当該職員に、当該要保護者の居住の場所に立ち入り、これらの事項を調査させ、又は当該要保護者に対して、保護の実施機関の指定する医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる。
引用:生活保護法第28条(電子政府の総合窓口)より
つまり、生活保護受給者に対して家庭訪問を実施する事は、法律で定められた事項です。
家庭訪問の頻度などは各都道府県が指針(だいたい年3回位)を示し、自治体(市区町村)が指針に基づいて実施をします。
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生活保護の家庭訪問を拒否や無視する事は違法
保護の実施機関は、要保護者が第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は医師若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨の命令に従わないときは、保護の開始若しくは変更の申請を却下し、又は保護の変更、停止若しくは廃止をすることができる。
引用:生活保護法第28条5項(電子政府の総合窓口)より
つまり、生活保護の家庭訪問を拒否や妨げたり、忌避(嫌って避けること)した場合、生活保護の停止や廃止が出来ると明確に法律で定められています。
以上から、生活保護を受給している限り、家庭訪問を受ける義務があり、受けたくないなら生活保護を返上するしかありません。
でも、例えば抜き打ちで家庭訪問に来られて部屋が汚いから無理とかいうのも生活保護が停止や廃止されちゃうの?
どの程度・順序を経て生活保護が停止・廃止されるか詳しく説明していくよ
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生活保護の家庭訪問を拒否や無視するとどうなるのか?
家庭訪問を拒否や無視し続けると取られる対応
- 手紙で依頼
- ケースワーカーが抜き打ちで家庭訪問に訪れる
- 家庭訪問を受ける指示書が発行される
- 弁明の機会が与えられる
- 生活保護の停止・廃止になる可能性も
上記のように段階的な対応がとられ、最終的には生活保護の停止や廃止がされる可能性もあります。
冒頭でも少し触れましたが、家庭訪問を一度口頭でやんわり拒否した位なら、いきなり生活保護の停止や廃止にはなりません。
生活保護受給者は困窮していますので、生活保護の停止・廃止はその人の命に関わります。
そのため、生活保護の停止・廃止までには、上記の通り段階を経て慎重に行われます。
1:手紙で依頼
生活保護の家庭訪問は、基本的に事前連絡をして生活保護受給者とケースワーカーの都合が良い日時に実施されます。
ですから、事前連絡(電話・書面など)で反応が無い、拒否された場合は書面で家庭訪問をさせて欲しいという依頼の手紙を送ります。
反応があるまで何度か(手紙を出す)、という意味合いで解釈してもらえると助かるかな
2:ケースワーカーが抜き打ちで家庭訪問に訪れる
書面での反応が無かったり拒否をした場合は、ケースワーカーが抜き打ちで家庭訪問に訪れます。
基本的に生活保護の家庭訪問は、何かしら問題がなければ抜き打ちで実施される事はありません。
しかし、拒否や無視をしていると抜き打ちで家庭訪問が実施されます。
そして、ここでも拒否や居留守などで家庭訪問を受けなかった場合、次の対応がとられます。
3:家庭訪問を受ける指示書が発行される
抜き打ちでも家庭訪問を拒否や無視した場合は指示書が福祉事務所から発行されます。
指示書には、
指示書の内容
- 決定した家庭訪問の日時
- 応答期限
が明記されており、応答期限(大体2週間だが緊急の場合は1週間の時も)までに応答しなければいけません。
この指示書は強制力がある書類ですので、拒否や応答期限までに応答しなかったら(無視したら)、その理由を説明しなければいけません。
強制力のある指示書を拒否・無視してもまだ生活保護の停止・廃止にはならないの?
万が一の可能性(急病で入院した など)も考えられるから、何故指示書を拒否・無視したか理由を述べる機会が与えられるんだ。
じゃあ詳しく説明していくね
4:弁明の機会が与えられる
家庭訪問の指示書に書いてある応答期限までに応答しなかった(無視した)り、拒否をした場合は、何故拒否や無視したかを説明する、弁明の機会が与えられます。
書面で、日時を明確に指定されますので、指定された日時に福祉事務所へ出頭しなければいけません。
そして、弁明の機会でも拒否や正当な理由がなかったり、指定日時に出頭しなかった(無視した)場合は生活保護が停止・廃止される可能性もあります。
詳しく説明するね
5:生活保護の停止・廃止になる可能性も
弁明の機会でも拒否や正当な理由がなかったり、指定日時に出頭しなかった(無視をした)場合、最終的に生活保護の停止・廃止をされる可能性があります。
ただ、前述の通り、生活保護の停止・廃止は受給者の生活・命に関わる可能性が非常に高く、自治体(福祉事務所)もかなり慎重に検討をします。
この段階に来た方全てが、生活保護の停止・廃止になるとは言い切れませんが、法的な観点からいうと生活保護の停止・廃止要件を満たしています。
だから現実的な話をすると、家庭訪問の拒否や無視をし続けて、生活保護の停止・廃止要件を満たしても100%そうなるとは限らないようなんだ
そうなるね。
ただ、少なくとも生活保護を受けている以上、家庭訪問には必ず応じなければいいけないのは間違いないよ
この記事に、生活保護の家庭訪問を拒否・無視する事を推奨するような意図は一切ありません
まとめ
これまで説明した通り、生活保護の家庭訪問を拒否や無視してから、生活保護の停止・廃止まではいくつかの段階を経る事になります。
だからと言って今回の記事を見て、
と思ったり実際に拒否や無視する事は止めましょう。
この記事はそのような意図では書いていませんし、生活保護を受給している限り家庭訪問に応じる義務があります。
家庭訪問に協力的な応じ方をすれば、ケースワーカーさんの負担も少なくなり、それが社会貢献にもつながります。
また、全ての自治体・ケースワーカーが今回の記事通りの対応をする可能性は非常に少ないので、今回の記事の内容はあくまで参考にしてください。
何度も言いますが、生活保護は自治体の裁量が非常に大きいので、もしかしたら家庭訪問の拒否や無視から、生活保護の停止・廃止までのプロセスが短い自治体がある可能性も十分考えられます。
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