生活保護の冬季加算
- 名目:暖房代(灯油代)
- 支給対象者:全ての生活保護受給者
- 支給期間:11月~3月
- 金額:住んでいる都道府県と世帯人数による
今回は生活保護の冬季加算について紹介します。
冬季加算とは、暖房代(慣例的に灯油代ともいう)として生活保護の給付金額(生活扶助[生活費])に上乗せされるお金の事をいいます。
ちなみに、上の画像は保護決定通知書といい、生活保護でもらえる金額などが明記されているものですが、11月から冬季加算が実施されると明記されています。
冬季加算でもらえる金額は、住んでいる場所(都道府県)と世帯人数で大きく異なり、
冬季加算でもらえる金額
- 寒い地域 > 暖かい地域
- 多人数世帯 > 一人世帯
となります。
具体的に見ると、平成30年度の冬季加算金額は、1人世帯だと2,580円~12,540円で、9人家族だと5,450円~26,500円となっています。
同じ世帯人数でも、5倍近く冬季加算金額に差があるので、冬季加算は住んでいる場所(都道府県)が最も給付金額に影響すると言えます。
という事で、今回は生活保護の冬季加算についての説明と、
冬季加算について
- どの地域(都道府県)に住み
- どの世帯人数だと
- 冬季加算はいくらもらえるのか
を紹介していきます。
本記事で紹介する冬季加算の給付金額は平成30年度のデータです
冬季加算とは?
冬季加算の趣旨
冬季における光熱費等の増加需要に対応するものとして、11月~3月の生活扶助基準に上乗せして支給するもの
引用:冬季加算について(厚生労働省 PDFファイル)より
つまり、純粋に暖房代として生活保護の受給額に上乗せされるものです。
冬季加算は慣例的に暖房代とか灯油代とも呼ばれます。
後述しますが、灯油代と言っても灯油にしか使ってはいけないという訳ではありません
冬季加算で支給されたお金は暖房代以外使えないのか?
冬季加算に限らず、生活保護でもらったお金は何に使おうが自由です。
冬季加算でもらった金額分の暖房代(電気・ガス・灯油など)を、レシートや領収書で証明・提出する必要はありません。
とは言っても、無駄遣いしてお金が無くなりましたという事になっても、追加でお金を貰う事はできませんので注意しましょう。
冬季加算がもらえる条件
対象者
生活扶助を受給している被保護世帯
引用:冬季加算について(厚生労働省 PDFファイル)より
つまり、生活扶助(生活費)は全ての生活保護受給者がもらっているので、生活保護を受給している方全員が冬季加算をもらえます。
そのため、手続きや申請などは一切必要なく、毎月もらえる生活保護の金額(生活扶助[生活費])に上乗せされます。
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冬季加算がもらえる期間
毎年11月~3月の5か月間は毎月の生活保護受給額(生活扶助[生活費])に上乗せされます。
上↑の画像は、生活保護の支給日を年度分まとめて掲載している「保護費支払予定表」というものです。
冬季加算は年間スケジュールに組み込まれているので、「保護費支払予定表」でも明確に
と明記されています。
冬季加算の受け取り方法
冬季加算は生活保護受給額(生活扶助[生活費])に含まれて支給されるので、
生活保護のお金の受け取り方法
- 福祉事務所に行って手渡しで受け取る
- 銀行振り込み
上記のどちらかになります。
冬季加算でもらえる金額
冒頭で触れた通り、冬季加算の金額は、
冬季加算でもらえる金額
- 寒い地域 > 暖かい地域
- 多人数世帯 > 一人世帯
となり、具体的な指標をいうと、冬季加算地域区分と世帯人員(世帯人数)で決まります。
暖かい地域より寒い地域が、一人世帯より多人数世帯が冬季加算金額は高くなるのは、当たり前と言えば当たり前ですね。
ちなみに、平成26年度の厚生労働省資料では、級地によって冬季加算の金額が変動していましたが、平成30年の厚生労働省資料をみると、級地での冬季加算金額に差異は見られませんでした。
参考冬季加算について(厚生労働省 PDFファイル)
参考平成 30 年度 生活保護実施要領等(厚生労働省PDFファイル)
冬季加算地域区分
冬季加算地域区分とは、Ⅰ区からⅥ区まで、都道府県単位で設定されており、数字の小さい地域に住んでいる方が冬季加算でもらえる金額が多くなります。
冬季加算地域区分
地区別 | Ⅰ区 | Ⅱ区 | Ⅲ区 | Ⅳ区 | Ⅴ区 | Ⅵ区 |
---|---|---|---|---|---|---|
都道府県名 | 北海道 青森県 秋田県 |
岩手県 山形県 新潟県 |
宮城県 福島県 富山県 長野県 |
石川県 福井県 |
栃木県 群馬県 山梨県 岐阜県 鳥取県 島根県 |
その他の都道府県 |
世帯人員(世帯人数)と冬季加算金額一覧早見表
まずは前述の冬季加算地域区分説明から、ご自身のお住まい(都道府県)がどの冬季加算地域区分になるかを確認してください。
その後、下記の冬季加算金額一覧表から、該当する冬季加算地域区分と世帯人数の箇所に冬季加算金額が記載してあります。
平成30年度の冬季加算金額一覧早見表
地区別冬季加算額 | 世帯人数別 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人 | 8人 | 9人 | 10人以上 1人を増すごとに加算する額 |
|
Ⅰ区 | 12,540 | 17,800 | 20,230 | 21,850 | 22,460 | 23,870 | 24,880 | 25,690 | 26,500 | 810 |
Ⅱ区 | 8,860 | 12,580 | 14,290 | 15,440 | 15,860 | 16,860 | 17,580 | 18,150 | 18,720 | 570 |
Ⅲ区 | 7,320 | 10,390 | 11,800 | 12,750 | 13,100 | 13,930 | 14,520 | 14,990 | 15,460 | 470 |
Ⅳ区 | 6,660 | 9,450 | 10,740 | 11,600 | 11,920 | 12,680 | 13,210 | 13,640 | 14,070 | 430 |
Ⅴ区 | 4,540 | 6,450 | 7,330 | 7,920 | 8,140 | 8,650 | 9,020 | 9,310 | 9,600 | 300 |
Ⅵ区 | 2,580 | 3,660 | 4,160 | 4,490 | 4,620 | 4,910 | 5,120 | 5,280 | 5,450 | 170 |
単位は円
支給された冬季加算の金額を確認する方法
冬季加算は生活扶助(生活費)に上乗せされます。
しかし、生活保護でもらえる名目・金額が明記された保護決定通知書でも、冬季加算の金額は書かれていません。
ですから、冬季加算されない月(4月~10月)の生活扶助(生活費)金額と冬季加算される月(11月~3月)の生活扶助(生活費)金額の差分を計算して冬季加算の金額を算出します。
冬季加算の金額計算
■保護決定通知書を比較する
冬季加算される月(11月~3月)の生活扶助(生活費)金額 - 冬季加算されない月(4月~10月)の生活扶助(生活費)金額 = 冬季加算の金額
参考までに、上↑の画像は私の保護決定通知書で、生活保護受給額が明記されています。
「2 認定した扶助額および収入額の内訳」で11月の生活扶助(生活費)を見ると80,520円(冬季加算込)です。
冬季加算がされない月(4月~10月)の、私の生活扶助(生活費)は77,940円なので、差額の2,580円が冬季加算で支給された金額となります。
私は東京都内在住の単身一人暮らしなので、前述した「平成30年度の冬季加算金額一覧表」の金額2,580円と一致しています。
冬季加算は暖房代を差し引いても多めにもらえている
上図は厚生労働省の資料で、最も暖房代のかかるⅠ区の冬季加算額と灯油価格の推移をグラフ化したものです。
グラフから見ると、第二次オイルショック(1979年)から数年間は、冬季加算金額よりも暖房代(灯油代)の方が高い状態でした。
しかし、それ以外は一度も暖房代(灯油代)が冬季加算金額を超えた事はありません。
むしろこうやってみると、冬季加算だけに限っていえば、1990年代から2000年代初めまでは貰いすぎていた感があります。
しかし、近年は冬季加算金額と暖房代(灯油代)の乖離幅も縮小されて、適切な金額に近づいたと言えるのではないでしょうか。
ちなみに、冬季加算でもらったお金の使い道は自由なので、暖房代として使い、余った分は返還する事なく自由に使う事ができます。
あくまで制度としての話で、暖房代(灯油代)を他に使う事を推奨する意図は一切ありません
まとめ
生活保護は必要最低限の生活費が支給されていますので、暖房を使用する時期に暖房代(灯油代)が加算されるのは非常に助かります。
これまで説明した通り、よほど暖房代(灯油代)が値上がりするか、暖房をかけすぎなければ、実際にかかった暖房代が冬季加算の金額を上回る可能性は低いです。
無理や我慢をしないで適切に暖房を使用し、風邪などの感染症にかからないよう注意しましょう。
体調管理を万全にし、仕事に励み一日も早く生活保護を返上したいものです。