生活保護受給者
- エアコンの購入に最大50,000円が支給
- エアコンの設置費用も生活保護費で補助
- 対象は2018年4月1日以降に生活保護を受給開始した方(他条件あり)
- エアコンの買い替えは対象外
- エアコンの修理費は対象外
- エアコンを動かす電気代は自腹
お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は生活保護受給者がエアコンの購入・設置する場合の費用について説明します。
結論から言うと、生活保護の受給開始が2018年4月1日以前か以後で対応が大きく異なります。
2018年4月1日以降に生活保護を受給した方
条件を満たせばエアコンの購入費用(上限50,000円)と設置費用も生活保護で支給
2018年4月1日よりも前に生活保護を受給している方
エアコンの購入費用も設置費用も補助はされない
現在、生活保護受給者がエアコンを所有する事自体は認められています。
しかし、生活保護の開始日によってエアコンの購入・設置費用についての対応が異なるのはなぜなのか。
ポイントは、2018年6月27日に厚生労働省が出した通知にありました。
という事で今回は、生活保護受給者がエアコンの購入・設置をする際の
生活保護受給者の収入
- 補助(支給)を受ける条件
- 補助(支給)の対象外となるもの
を紹介します。
参考「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正について(通知)(厚生労働省PDF)
【大前提】生活保護受給者でもエアコンの所有は認められている
以前は、生活保護受給者のエアコン所有は認められていませんでしたが、現在は認められています。
実際、私は2018年10月31日に生活保護の申請時家庭訪問を受けました。
その際、私の部屋にはエアコンが設置してありましたが、外せという指示は一切ありませんでした。
その後、何度かケースワーカーさんに家庭訪問をしてもらいましたが、その際もエアコンを運転している事に対して何も言われませんでした。
エアコンの購入・設置費用が補助(支給)されるようになった経緯
とは言っても、これまではエアコンの所有は認められているものの、
- エアコンの購入費用
- エアコンの設置費用
- エアコンの修理
- エアコンの買い替え
- 電気代
は、生活保護受給者が生活保護費を工面して捻出しなければなりませんでした。
では、何故そのうち購入費用と設置費用が補助(支給)されるようになったのか?
それは2018年の暑さが理由だと思ってます。
2018年の夏は命にかかわる災害レベルの暑さ
2018年の夏は、観測史上初、6月中の梅雨明け(関東甲信)や記録的な猛暑となりました。
本格的に暑くなる前の6月から、
と言われており、結果で見ると観測史上1位~3位の気温は2018年の夏に更新され、観測史上トップ10のうち、5つが2018年の記録に。
気温が体温(36.5度)を超える事は当たり前で、40度を超える日もあり、エアコンが無ければまさに命に関わるほどの暑さでした。
参考猛暑・多湿列島を襲う 「一つの災害と認識」気象庁会見(日本経済新聞)
参考昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値):関東甲信(気象庁)
参考気温の歴代全国ランキング(気象庁)
厚生労働省が生活保護受給者のエアコン購入・設置費用についての通知を出す
そんな2018年の夏が本番になる少し前の、2018年6月27日に厚生労働省が通知を出しました。
ルームエアコンは「社会通念上処分させることを適当としないもの」と定義し、条件を満たせばエアコンの購入、設置費用を補助(支給)するという内容。
この通知は2018年7月1日から施行されています。
2018年の夏が本格的に始まる前に、
という前評判があったからなのかな?とは思いますが、この制度のおかげで2018年の暑さを凌げた方も中にはいるはず。
少し長くなりましたが、このような流れで生活保護受給者のエアコン購入・設置費用が補助(支給)される運びとなりました。
参考「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正について(通知)(厚生労働省PDF)
補助の内容
補助の内容
- エアコンの新規購入費用を支給(上限50,000円)
- エアコンの設置費用を支給
【注意】補助の対象外となるもの
補助(支給)対象外
- エアコンの買い替え
- エアコンの修理
- エアコンの使用でかかる電気代
補助(支給)を受ける条件で後述しますが、あくまでエアコンが無い方が対象であり、既にエアコンがある場合の買い替えなどは対象外です。
また、生活保護を受けていても、家電が壊れたからといって追加でお金が支給される事はありません。
ですから、エアコンの修理代は生活保護費(生活扶助)から工面する事になります。
電気代に関しても別途支給される事はありません。
補助の条件
条件
- 2018年4月1日以降に生活保護が開始された
- 熱中症予防が特に必要とされる者がいる世帯である事
- 保護開始時において、最低生活に直接必要な家具什器(エアコン)の持合せがないとき
- 長期入院・入所後退院・退所した単身者であって、新たに自活しようとする場合において、最低生活に直接必要な家具什器(エアコン)の持合せがないとき
- 災害にあい、災害救助法が発動されない場合において、当該地方公共団体等の救護をもってしては、災害により失った最低生活に直接必要な家具什器(エアコン)をまかなうことができないとき
- 転居の場合であって、新旧住居の設備の相異により、最低生活に直接必要な家具什器(エアコン)を補填しなければならない事情が認められるとき
- 犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合
つまり、2018年4月1日以降に生活保護が開始され、その時にエアコンが無く、どこからもエアコンの購入援助をしてもらえない場合だね
参考「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正について(通知)(厚生労働省PDF)
参考平成30年度生活保護実施要領等全体版
疑問点
疑問点
- 条件にある「熱中症予防が特に必要とされる者」とは?
- 熱中症予防が特に必要とされる者が世帯にいない場合は補助の対象外なのか?
- 生活保護開始日だけ満たせなくても対象外なのか?
- 冷房だけでなく暖房機能があるエアコンを購入していいのか?
- 条件を満たし申請さえすればいつでも補助(支給)は受けられるのか?
疑問点1:条件にある「熱中症予防が特に必要とされる者」とは?
体温の調節機能への配慮が必要となる者として、高齢者、障害(児)者、小児及び難病患者並びに被保護者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施機関が必要と認めた者が該当する。
引用:「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正について(通知)(厚生労働省PDF)より
つまり、若くて健康であっても、住んでいる地域や住環境等を総合的に考えた場合、熱中症予防が特に必要とされる者に該当します。
ただし、判断は実施機関、つまり自治体に委ねられています。
もともと生活保護は自治体の裁量が非常に大きいので、全く同じ状況だとしても「熱中症予防が特に必要とされる者」としての判断が、自治体によって異なる可能性は十分あります。
疑問点2:熱中症予防が特に必要とされる者が世帯にいない場合は補助の対象外なのか?
それ以外の条件を全て満たしていれば、上限は20,000円までになりますが、エアコン購入の費用が補助(支給)されます。
前述の通り、熱中症予防が特に必要とされる者の判断は非常にふんわりしており、若く健康な単身世帯の場合は該当するか微妙かもしれません。
ですが、該当しない場合でも上限額は下がってしまいますが、補助(支給)を受ける事ができます。
疑問点3:生活保護開始日だけ満たせなくても対象外なのか?
現時点(2019年2月)では2018年4月1日よりも前に生活保護を受けている方は他の条件全てを満たしていてもこの補助(支給)の対象外です。
今後、2018年4月1日より前に生活保護を受けている方も対象になるか、変更があるか気になる所です。
ちなみに、生活保護の開始日は、初回発行の保護決定通知書に記載されています。
保護決定通知書の名称は自治体により異なる可能性があります
疑問点4:冷房だけでなく暖房機能があるエアコンを購入していいのか?
冷暖房機能のあるエアコンを購入して問題ありません。
むしろ、エアコンと暖房器具の両方ともない場合は、厚生労働省でも冷暖房両方の機能がついているエアコンの購入を推奨しています。
疑問点5:条件を満たし申請さえすればいつでも補助(支給)は受けられるのか?
保護の実施機関において、被保護者が居住する地域の気温の状況、被保護者の健康状態や、都道府県衛生主管部局等における熱中症予防に関する注意喚起の状況等を総合的に勘案の上、判断されたい。
引用:「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」の一部改正について(通知)(厚生労働省PDF)より
補助(支給)される時期は「熱中症予防が必要となる時期」と定義されており、厚生労働省では上記のように説明しています。
つまり、支給時期の判断は自治体に委ねる形になっています。
確かに、例えば5月の場合でも、北海道では冷房が必要になる可能性は低いでしょうが、沖縄なら十分考えられます。
現実的には、エアコンのシーズンになると設置工事の待ち時間もあったり、判断が難しいところではありますが、少なくとも冬には支給されない可能性が高いでしょう。
まとめ
2018年夏の暑さは本当に命にかかわる程でした。
熱中症で救急搬送されたり、亡くなった方も多かったです。
今回のエアコン購入費用に関しては、本当に命に関わるので、この対応を生活保護開始日が2018年4月1日より前の方にも適用される事を祈っています。
もし、この記事をみて、
という方は、担当ケースワーカーさんに相談して補助(支給)してもらえるか、それはいつになるかを確認しましょう。