
お断り
本記事の内容は、私が担当ケースワーカーさんに取材させていただいた内容を元にしています。
生活保護は、各自治体の裁量が非常に大きく、自治体によっては対応が異なる場合もありますので、参考としてご覧になってください
今回は生活保護受給者の近所に家族(親兄弟や親族等)が住む事は禁止されているのかについて紹介します。
結論から言うと、生活保護受給者の自宅付近(近所)に親兄弟や親族等が住んでいても全く問題ありません。
生活保護申請前、決定後も
ココがポイント
- 身内(親兄弟や親族等)が近所に住んでいても生活保護は申請可能
- 生活保護決定後に身内(親兄弟や親族等)が近所に住んでも問題ない
上記の通り、身内(親兄弟や親族等)が近所に住んでいても全く問題ありません。
ですが、なぜこのような噂が広まったのかを考えたら、一つ思い当たる節がありました。
それは、生活保護を受ける条件の一つである、「身内(親兄弟や親族等)から援助が受けられない」という事。
つまり
という解釈に至ったのではないかと。
確かに、生活保護受給者の自宅近所に、身内(親兄弟や親族等)が住んでいると、
と思われるのは当然と言えば当然です。
そこで今回は、生活保護受給者の自宅近所に、身内(親兄弟や親族等)が住んでいる場合、
ココに注意
- どの程度なら違反にならないのか
- どの位になったら違反なのか
を紹介していきます。
繰り返しますが、生活保護は各自治体の裁量が大きく、自治体によって対応が異なる場合がありますので、あくまで参考としてご覧になってください
【大前提】生活保護の申請は近所に身内(親兄弟や親族等)が住んでいても可能
自分の住所のどれだけ近い位置に、身内(親兄弟や親族等)が住んでいても、生活保護の申請はできます。
身内(親兄弟や親族等)の住所は、生活保護の申請基準、条件には一切規定がありません。

生活保護を受ける条件の一つは身内(親兄弟や親族等)から援助してもらえない事
生活保護の申請をする際、申請者は保護申請書という書面に記入をします。
その際、身内(親兄弟や親族等)の名前や住所を書く必要があります。
福祉事務所は、生活保護申請者が保護申請書に記入した身内(親兄弟や親族等)へ、援助ができないか確認を取る書面を送ります。
もちろん、そこで援助がしてもらえる場合は生活保護を受ける事ができません。
援助を断られた場合のみ生活保護を受ける事ができます。



そうなるね

【要注意】生活保護受給者の近所に身内(親兄弟や親族等)が住んでいる場合違反になる行為
ココに注意
- 近所の身内(親兄弟や親族等)の家に入りびたる
- 援助を受けた事を隠す
生活保護を受給する条件に違反する可能性が非常に高いので詳しく説明していきます。
繰り返しますが、生活保護は自治体の裁量が非常に大きく、特にこれから説明する箇所は、自治体によって判断と対応が異なる可能性が非常に高いです
違反1:近所の身内(親兄弟や親族等)の家に入りびたる
生活保護では住宅扶助(家賃)が給付されます。
にもかかわらず、身内(親兄弟や親族等)の家に入りびたっていると、支給された住宅扶助(家賃)の意味がありません。
そして、
という話になって当然と言えます。
具体的に、どの位身内(親兄弟や親族等)の家に入りびたると違反としてみなされるのかや、その際に下される対応は、担当ケースワーカー、自治体によって異なります。
たまに顔を出す程度なら問題ないでしょうが、自宅にほとんど戻らない状態だと違反としてみなされる可能性が非常に高いです。
違反2:援助を受けた事を隠す
生活保護受給者は身内(親兄弟や親族等)に限らず、お金、現物の援助を受けた場合福祉事務所に報告が必要です。
理由は、援助を受けた分生活保護の支給額から減額するからです。
生活保護は必要最低限の扶助になるので、身内(親兄弟や親族等)や誰かから援助を受けたら、その分を差し引くというのは当然です。
ですから、身内(親兄弟や親族等)に限らずお金や現物で援助をしてもらった場合は必ず福祉事務所に報告をしましょう。
報告さえすれば身内(親兄弟や親族等)から援助を受けても構わない
生活保護の申請時に、身内(親兄弟や親族等)から援助をしてもらえる事になったら、生活保護を受給できません。
しかし、生活保護決定後も誰からも援助を受けていけないかというと、それは間違いです。
身内(親兄弟や親族等)に限らず一時的にだったり、少額でも援助を受ける事は構わないのです。
ただ、うけた援助分はしっかり福祉事務所に報告して、援助分を差し引いて生活保護のお金(生活扶助[生活費]・住宅扶助[家賃])を支給しますというだけです。
もちろん、援助の金額が生活保護の受給額を上回れば生活保護のお金(生活扶助[生活費]・住宅扶助[家賃])は支給されません。
そして生活できる位の援助が見込めるならば、生活保護を返上する事になるだけです。
問題なのは生活保護を受けているのに援助を隠す事です。
書類なしの借金や現物援助は把握が難しい
私がケースワーカーさんにお聞きした話だと、借用書などを作成せずに、現金のみの受け渡しで援助を受けた場合、把握するのはかなり難しいとの事でした。
同様に、現物(米とかお酒とか)の援助も把握が難しいようです。
しかし、
という考えはいずれ絶対にバレますし、生活保護のお金は納税者が収めた税金です。
適切に使われなければいけませんし、すり抜けるような真似は絶対してはいけません。
あくまで説明であり、種類なしの借金や現物援助をしてもらう事を促す意図は一切ありません
援助を受けた事を隠してバレた場合は(援助分の)生活保護費減額や返還が必要
生活保護受給者が、借金や現物支給の報告を故意に怠った場合の対応は、ケースワーカー、自治体によって異なります。
しかし、基本的には援助を受けた分が生活保護の受給額から減額されるか返還が求められます。
が、悪質、高額な場合は不正受給にあたり生活保護の廃止はもちろん、詐欺罪として問われる場合もあります。
参考生活保護費380万円詐取の男に実刑判決 秋田地裁「常習的で悪質」(産経新聞)
まとめ
生活保護は身内(親兄弟や親族等)がどこに住んでいようとも申請、受給できます。
しかし、近所に身内(親兄弟や親族等)が住んでいる場合、援助を受けやすいと思われる可能性はあるかも知れません。
これまで説明した通り、生活保護受給者は援助を受けていけないという訳でなく、報告さえすれば構わないのです。
ですから、
という心配は無用ですので、援助を受けられる場合は援助を受け、福祉事務所に報告をしましょう。
援助分は差し引いて生活保護のお金(生活扶助[生活費]・住宅扶助[家賃])を受給する事になり、生活できるレベルの援助がもらえたら生活保護を返上するだけです。
援助を受けた事を隠し、生活保護を不正受給するという事だけは絶対しないようにご注意を。
